研究課題
本研究は炎症性腸疾患・大腸癌に対し、病態の解明とこれに基づく治療法の飛躍的な発展を達成するには、ヒト疾患を忠実に模倣し、且つ治療効果を鋭敏に反映・予測し得る動物モデルの確立が必須であり、切望されている。本研究は、研究代表者らが世界で唯一保有する技術である「腸上皮初代培養細胞の生体移植法」を、全大腸上皮をヒト由来細胞で置換した「ヒト化腸上皮マウス」作成法へと展開し、これを利用した世界初のヒト化大腸炎・発癌モデルマウスの樹立へと発展させる事を目的とする。具体的には、(1)移植ドナー腸上皮によるレシピエントマウス腸上皮置換法の確立、(2)内視鏡生検組織を用いたヒト腸上皮オルガノイド・ライブラリの構築、(3)ヒト化腸上皮マウス誘導作成法の開発の3項目について遂行する。本研究の遂行により、「ヒト化マウス」を用いた消化管疾患研究・治療法開発という全く新しい分野を開拓するのみならず、ヒト特有の分子構造・抗原に対する分子標的薬の生体内疾患標的に対する機能・効果の迅速且つ正確な評価、並びに生体レベルでの大規模・高効率な疾患治療標的分子スクリーニングを実現する画期的な薬剤開発ツールへと発展することが期待される。昨年度は研究計画に則り、高効率移植モデルマウスの条件検討を行い、従来よりも効率の良い移植条件を見いだした。また内視鏡生検検体から、ヒト腸管上皮オルガノイドの培養を行いライブラリーの収集を開始している。今年度は高効率移植モデルを用いて、マウス小腸初代培養オルガノイドを大腸に移植させることに成功し、小腸が大腸の間質にもかかわらず小腸細胞のまま分化し小腸絨毛を形成することを確認した。以上より、人上皮細胞もマウス大腸間質においても腺菅構造を形成することが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件)
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