研究課題
炎症腸疾患は本邦で近年増加傾向にある慢性腸管炎症を特徴とする疾患であり,免疫統御療法によって主に治療されているが,治療に難渋する難治例が問題となっている.最近,腸管上皮細胞の再生による粘膜治癒が長期寛解を予測する治療ゴールとなっているが,粘膜再生治療の効果については十分な検証がなされていない.我々は2009年に腸管上皮幹細胞のオルガノイド培養を確立し,さらに,2012年にオルガノイドを用いたマウス腸炎モデルの粘膜再生治療効果を確認している.本研究ではオルガノイド培養技術を利用した粘膜再生治療のより臨床的な応用研究として,大動物を用いた粘膜再生治療の確立を試みた.大動物飼育施設を利用し,飼育ブタより内視鏡的に採取したサンプルよりオルガノイドを樹立しレンチウィルスベクターを用いてGFP蛍光可視化を行った.研究施設の大動物用内視鏡は蛍光観察が行うことが可能であり,生着オルガノイドを内視鏡的に確認することができた.ブタ腸管上皮損傷モデルを確立し,損傷粘膜部へのGFPオルガノイドの内視鏡的な移植を行った.オルガノイドは7-10日間の生着が内視鏡的に確認された.さらなる移植技術の最適化により,炎症性腸疾患への粘膜再生治療の実現を目指したい.
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