炎症腸疾患は慢性腸管炎症を特徴とする疾患であり,免疫統御療法によって治療されている.最近,粘膜治癒が長期寛解を予測する治療ゴールとなっているが,粘膜再生治療の効果については十分な検証がなされていない.我々は新しく開発されたオルガノイド培養技術を利用し,大動物を用いた粘膜再生治療の確立を試みた.大動物飼育施設を利用し,飼育ブタより内視鏡的に採取したサンプルよりオルガノイドを樹立し,上皮損傷後のブタ腸管粘膜への内視鏡的な移植を行った.オルガノイドは7-10日間の生着が内視鏡的に確認された.さらなる移植技術の最適化により,炎症性腸疾患への粘膜再生治療の実現を目指したい.
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