研究概要 |
ウイルスや細菌などの微生物の感染は、全世界においてがん発生の主要原因であり、特に肝臓がんは、肝炎ウイルス感染(HBV,HCV)がその発がんの最大要因である。しかし、最近、非B型非C型肝炎(NBNC)からの肝臓がんの発生が日本でも多数みられるようになり、その多くは代謝性疾患からの肝炎が原因であると考えられているが、さらなる未知の微生物感染による肝炎および発がんの可能性を完全に否定できるものではない。本研究は、肝臓がんの全ゲノムおよび全RNA解析のシークエンスデータから、外来性生物のゲノム配列を探索し、その病的意義について検討することを目的とする。 まず、肝臓がんの全ゲノムおよび全RNA解析を200例以上について施行した。 この中から、20例について、ヒトゲノム配列に該当しないreadを抽出し、それらをさらにフィルターをかけながら、de novo アセンブリ法およびヒトゲノムにない塩基配列の解析を行った。 その結果、HBVやHCVの配列を同定して、この解析方法を合理性が証明された。そして、HBVやHCV以外にはAAVや緑膿菌などの細菌のDNA,RNAに相当する塩基配列を複数のサンプルで検出した。もとのDNA、RNAについてPCRまたはRT-PCR>Sangerシークエンスを行い、これらの外来生物の存在を確認した。 今後、非B型非C型肝炎のサンプルの解析を増やして、HBVやHCV以外の外来生物のゲノムの抽出を行う予定である。
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