研究課題
心筋梗塞急性期の重篤な致死性合併症である心破裂には、サイトカインを主体とする炎症が重要な役割をはたしていることが知られている。ナチュラルキラーT(NKT)細胞は、TNF-αやIFN-γなどの炎症惹起性Th1サイトカインとIL-10やIL-4などの抗炎症性Th2サイトカインのTh1/Th2バランスを調節し、生体における炎症制御という役割を担っている。本研究では、梗塞後心破裂における心筋炎症は、NKT細胞の機能低下に起因する炎症制御機構の破綻が原因であるという仮説を検証するとともに、NKT細胞によるTh1/Th2バランスの適正化を介した新規の梗塞後心破裂の予防法の可能性について虚血再灌流モデルと梗塞後心不全モデルを用いて検討した。虚血再灌流モデルでは、マウスに虚血再灌流(45分虚血・24時間再灌流)を行った。再灌流前30分にα-ガラクトシルセラミド(GalCer)を投与すると梗塞サイズが有意に縮小し、この効果にIL-10が密接に関連することが明らかとなった。さらに、内因性NKT細胞の役割を検討するためNKT細胞が欠損したJα欠損マウスを用いたところ、同様に虚血再灌流障害が抑制された。梗塞後心不全モデルでは、α-GalCer投与により左室リモデリング・心不全が有意に抑制された。さらに、梗塞後心破裂の発生率も抑制される傾向をみとめた。以上より、α-GalCerによるNKT細胞の機能制御は、心筋梗塞急性期における合併症の新たな治療法となる可能性が示唆された。
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