研究課題
心筋細胞において、ミトコンドリアは細胞の代謝、エネルギー産生及び細胞死において重要な役割を果たしている。ミトコンドリアは、分裂・融合を繰り返し、その恒常性を維持している。ミトコンドリア内膜融合阻害因子であるMIFIの発現を各臓器において検討したところを心筋特異的に過剰発現させた動物を作製した。遺伝子改変マウスは、メンデルの法則に従って得られ、心筋においてウェスタンブロットにより発現の上昇を確認した。生理条件下においては、心重量・心エコーによる心機能解析・分子マーカーの変化を認めなかった。大動脈縮窄により圧負荷を作製し、ストレス応答を検討したところ、心重量の有意な増大を認め、心肥大の分子マーカーであるANFの発現の上昇を認めた。また、コントロールと比較し、左室駆出率の有意な低下を認めた。以上の結果を、第124回日本薬理学会近畿部会において、演題名「新規ミトコンドリア融合阻害因子MIFIの心筋特異的過剰発現マウスを用いた生理・病態機能解析」にて発表した。さらに、ミトコンドリア関連遺伝子の発現を検討した。その結果、MIFI過剰発現マウスにおいてPGC-1aの有意な発現の低下を認めたが、ミトコンドリア分裂因子であるDRP-1、Fis-1の発現は圧負荷により低下したものの、コントロール群と比較して有意差を認めなかった。これらの結果を、第125回日本薬理学会近畿部会において演題名「ミトコンドリア融合阻害因子MIFIによる心病態の増悪機序に関する解析-遺伝子発現プロフィール解析-」にて発表した。最後に、MIFIの遺伝子発現に影響を及ぼす化合物を、化合物ライブラリーを用いてスクリーニングした。その結果、心毒性が認められるアントラサイクリン系抗癌剤においてMIFIの発現が上昇する事が明らかとなった。今後、薬剤性心筋症モデルを用いて、その意義を明らかにし、論文投稿する。
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