研究課題
挑戦的萌芽研究
1 心筋リプログラミング因子を発現するセンダイウイルスの作製マウス線維芽細胞への最適な遺伝子導入量を決定するため、まずGFPのセンダイウイルスベクターを用いて遺伝子導入効率をFACS、位相差蛍光顕微鏡で検討する。これまでの実験の結果、温度は35度で感染させ、ウイルス量(MOI)を3で80%、30以上にすると90%以上のマウス細胞がウイルスに感染することを確かめた。またMOIを300まで上昇させても99%の細胞が感染し、細胞障害性もないことを確認した。次に、心筋リプログラミング因子のセンダイウイルスベクターをディナベック社と共同研究で開発した。ベクターは遺伝子発現をコントロールできる温度感受性のTS7ベクターを使用することとした。これまでに心筋リプログラミング因子のセンダイウイルスベクター作製に成功した。センダイウイルスによるリプログラミング因子の細胞内での発現を確認するため、ポジコンとしてレトロウイルスによる遺伝子導入法と比較した。センダイウイルスはMOIを30-300まで振り、レトロウイルスによる遺伝子導入法とで各因子の発現をQRT-PCRで測定する。実験の結果、MOI300でレトロウイルスに最も近いリプログラミング因子の発現が確認された。2 直接リプログラミングにより線維芽細胞から心筋を誘導する心筋リプログラミング因子のセンダイウイルスベクターを用いてaMHC-GFP TGマウスの胎児線維芽細胞(MEF)から心筋を直接誘導する。このマウスは心筋細胞特異的なプロモーターの下流にGFP遺伝子が配置されているため、成熟分化した心筋細胞のみGFPを発現する。これまでの実験でセンダイウイルスの感染温度は35度オーバーナイト処理が37度より優れていること、心筋誘導可能であることを確認した。今後は心筋特異的蛋白の発現としてcardiac troponin T (cTnT)をFACSで定量的に解析し、誘導効率を確認する予定である。
2: おおむね順調に進展している
心筋リプログラミング因子を発現するセンダイウイルスの作製に成功し、心筋誘導を確認できた。
誘導心筋の分子生物学的な解析、生理機能などを解析する。
免疫染色のための抗体の購入や遺伝子発現解析などを次年度に繰り越すことになったため。次年度に抗体購入して免疫染色を行い、遺伝子発現解析のためのQRT-PCRプローブなどを購入する。
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