研究課題/領域番号 |
25670400
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
新森 加納子 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (30457600)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺小細胞癌 / 神経幹細胞 / リン酸化 / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
本研究は神経幹細胞の新規未分化維持因子を用いて癌の悪性度・未分化性を解明することを目的としている。悪性腫瘍は、低分化で急速に増殖する未熟な細胞の特徴を有するが、その形質獲得機序の解明は十分になされていない。申請者はこれまでマウス胎仔脳発生の研究で神経幹細胞の未分化性維持を司る新規核内因子SMF1を発見し、この分子が肺癌の中でも特に悪性度の高い小細胞癌において強い発現が認められたことをヒントに“幹細胞の未分化性維持機構と癌の低分化・未熟性の獲得機構には共通のメカニズムがあるのではないかという仮説”を立てた。そこで癌細胞がどのようなメカニズムで低分化・未熟性を獲得し悪性度を高めているのか、SMF1の低分化・未熟性の獲得機構における役割とその周辺の分子基盤を明らかにし、将来癌治療に役立つ分子情報や腫瘍マーカー等のシーズを創出することを目的としている。 本年度の実験計画では、SMF1を指標とした癌の悪性度・未熟性を司る分子シグナルネットワークを解明することであり、質量分析法による機能的リン酸化蛋白質の同定とその機能解析を行った。特に、SMF1結合蛋白質の解析を行った。 さらに、In silico 解析による癌の悪性度・未熟性を決定するSMF1を中心とした分子基盤の解明を行った。具体的には、KeyMolnet分子ネットワーク解析を用いて、同定した分子群のコンピュータ上での機能解析を行うことで、癌の悪性度・未熟性を決定する分子基盤やシグナル伝達系を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は神経幹細胞の新規未分化維持因子を用いて癌の悪性度・未分化性を解明することを目的としている。そこで癌細胞がどのようなメカニズムで低分化・未熟性を獲得し悪性度を高めているのか、SMF1の低分化・未熟性の獲得機構における役割とその周辺の分子基盤を明らかにし、将来癌治療に役立つ分子情報や腫瘍マーカー等のシーズを創出することを目的としている。本年度の実験計画では、SMF1を指標とした癌の悪性度・未熟性を司る分子シグナルネットワークを解明することを目的としており、質量分析法による機能的リン酸化蛋白質の同定とその機能解析を行ったり、In silico 解析による癌の悪性度・未熟性を決定するSMF1を中心とした分子基盤の解明を行った。さらに、同定した分子群のコンピュータ上での機能解析を行うことで、癌の悪性度・未熟性を決定する分子基盤やシグナル伝達系を解明することが出来たので、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
In silico 解析による癌の悪性度・未熟性を決定するSMF1を中心とした分子基盤の解明を行った。さらに、同定した分子群のコンピュータ上での機能解析を行うことで、癌の悪性度・未熟性を決定する分子基盤やシグナル伝達系を解明することが出来た。これをさらにin vitro, in vivo実験を行うことで、その分子基盤を詳細に明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
SMF1コンディショナルノックアウトマウスを作製するのに、まず、キメラマウスに直接Flpマウスを交配させ、生殖系列移行の確認と薬剤耐性遺伝子の除去を同時に行い、その後にFlpトランスジーン除去のため野生型マウスとの交配を行う、という作業を行ってはじめて、floxヘテロマウスが取得出来る。この実験を行うために、SMF1コンディショナルノックアウトマウスのF1世代ヘテロマウスの交配を行っていたが、親マウスによる子マウスの食殺等が起きたため、マウスの個体数を確保するのに当初の予定よりも、大幅に時間を要した。
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次年度使用額の使用計画 |
SMF1コンディショナルノックアウトマウスのF1世代が完成したので、現在、F1世代のマウス同志を交配させて、F2世代のマウスを作製している。また、このF2マウスのジェノタイピングを行い、ワイルド、ヘテロ、ホモ、遺伝子型を選別し、F2ヘテロマウス、F2ホモマウスをCAG-FLPマウスと掛け合わせることで、NEO薬剤耐性遺伝子の除去を行ったNEO薬剤耐性遺伝子除去を行ったSMF1コンディショナルノックアウトマウスを完成させる
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