研究課題/領域番号 |
25670401
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
辻村 周子 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70528174)
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研究分担者 |
原口 水葉 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80571140)
佐々木 衛 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90573311)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | COPD / 肺高血圧 / CT画像解析 / 肺微小血管体積 / 喫煙暴露 / マイクロCT |
研究概要 |
1.CT画像を用いたCOPD患者の肺高血圧の診断 慶応義塾大学のCOPDコホートのCT画像を用いて、画像解析ソフトLexus(AZE,Tokyo,Japan)で、肺微小血管の面積の解析を行った。過去の研究では、水平断で円形として捕えられる血管のみを解析し、微小血管の面積が肺高血圧の程度と逆相関することを確認し、肺高血圧のCT診断の可能性を検討していた。 本研究では、水平断・冠状断・矢状断の異なった3種類の断面で、全肺野の肺血管解析を試みた。これにより、水平断のみでの解析と比較して、より正確な血管解析が可能となった。今後は、血管解析結果を集め、この研究結果をもとにして、微小血管の体積の解析を行う予定である。 2.マウスの喫煙暴露実験の確立とmicro CTを用いたマウス胸部画像の評価 SIS-CS system(柴田科学社)を用いた喫煙曝露装置(SG-100)を使用し、短期喫煙で肺における急性炎症を、長期喫煙(3・5か月)で平均肺胞径の拡大を確認した。 1か月の喫煙曝露後、マウスの気管支肺胞洗浄液(BALF)を回収し、細胞数測定・細胞分画を測定した。細胞数増加、マクロファージ/好中球/リンパ球の増加を認め、過去の報告と同様であった。3・5か月の喫煙曝露後、マウスの肺のHE染色標本を作製し、平均肺胞径(mean liner intercept : Lm)を測定した。両時点において同月齢の空気曝露対照群と比較して、有意に平均肺胞径の拡大を認めた。micro CT (RmCT2 by Rigaku, Tokyo, Japan)を用いて、マウス胸部の撮影を行った。設定は心拍同期モードを使用し、心臓周囲肺野もブレを低減させた画像を得ることが可能である。肺気腫を認めた3・5か月の喫煙曝露マウスにおいてもCT画像上は気腫を同定できず、CT値の平均に対照群と比較して差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.CT画像を用いたCOPD患者の肺高血圧の診断 CTの血管解析において、解析ソフトLexus(AZE,Tokyo,Japan)により自動で血管のみを抽出した後で、手作業で1スライスずつノイズを削除する必要性が生じたため、当初の予定よりも時間がかかることとなった。しかしながら、正確な血管解析を行うためにはこの作業を行うことは重要であった。 2.マウスの喫煙暴露実験の確立とmicro CTを用いたマウス胸部画像の評価 マウスを用いた研究は、喫煙暴露マウスモデルの作成、BALFやHE標本での炎症や肺気腫の評価、micro CTを用いたマウスの胸部画像の解析は、いずれも、おおむね予定通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.CT画像を用いたCOPD患者の肺高血圧の診断 CTの肺微小血管の水平断、冠状断、矢状断の解析の症例数を増やし、肺高血圧の程度と比較をする。この方法で、血管の3次元に近い情報を手に入れることができる。この結果を踏まえ、微小肺血管の体積解析法を確立し、肺高血圧の診断に役立てる。 2.マウスの喫煙暴露実験の確立とmicro CTを用いたマウス胸部画像の評価 組織学的には平均肺胞径の拡大を認めたが、micro CT上においては差を認めなかった。さらなる長期喫煙でより平均肺胞径の拡大を認めた場合にはCTにおいての変化が認められるかもしれない。撮影したマウス胸部CT画像を用いて、肺野血管の抽出、解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な物品調達を行ったため、43527円を翌年度分に繰り越すこととなった。 次年度の研究費と合わせて、消耗品購入に充てる予定である。
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