研究課題/領域番号 |
25670405
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 貞嘉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40271613)
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研究分担者 |
岩田 錬 東北大学, 学内共同利用施設等, 名誉教授 (60143038)
田代 学 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00333477)
森 建文 東北大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40375001)
大崎 雄介 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40509212)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポジトロン断層法(PET) / 画像解析 / 腎機能評価 / 局所腎血流量 |
研究実績の概要 |
腎臓は心拍出量のおよそ20%を受ける臓器であるが、血流分布は皮質領域に大きく偏っており、腎髄質領域の血流量は総腎血流量の10%未満である。一方で腎臓髄質領域は酸素を用いた能動輸送や圧利尿を介したナトリウム利尿調節など局所血流量と深い関係のある重要な機能が少なくないことが動物実験レベルで報告されている。一方で、人を対象とした臨床的に用いられる検査は腎臓皮質領域の評価には優れるが、腎臓髄質領域の機能評価は十分には行われてはいないのが現状である。本研究では[15O]H2O用いたポジトロン断層法(PET)の撮影により臨床利用可能な腎局所血流を観察する方法の開発を目的としている。 事前に研究の内容を説明し同意の得られた健常被験者ならびに腹膜透析療法施行中の末期腎不全患者を対象として、[15O]H2O-PET画像撮影を2度行った。1度目の撮影は軽度飲水制限の条件下にて、2度目の撮影は飲水負荷30分後に撮影を行った。得られたPET画像中腹部大動脈ならびに腎臓局所の輝度を解析することにより、局所腎血流量を評価した。健常被験者と比較して末期腎不全患者において局所腎血流量は6割程度の低下を認め、その変化は統計学的に有意であった。一方で、健常被験者ならびに末期腎不全患者ともに、飲水負荷30分後における局所腎血流量には変化を認めなかった。 以上の結果より、末期腎不全患者は局所腎血流量が低下していることが確認され、今後のヒトにおける腎局所生理機能解析につながる重要な知見を得ることができた。
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