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2013 年度 実施状況報告書

リン脂質代謝を介する腎障害の新たな分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25670407
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

菅波 孝祥  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座教授 (50343752)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード腎虚血再灌流傷害 / リン脂質 / フォスファチジルコリン / 脂肪酸
研究概要

本年度は、腎虚血再灌流による急性腎不全モデルを用いて、障害部位に限局した代謝変化を質量顕微鏡法により網羅的に解析した。
Sham群において、脂肪酸組成の異なるフォスファチジルコリン(PC)が腎門部を中心に同心円状に分布しており、特に、皮質と髄質ではPC種が全く異なることを見出した。虚血再灌流傷害を惹起して、6時間と24時間後に同様の解析を施行したところ、各PC種はダイナミックに増減し、腎局所における傷害や代謝の変化を反映していると考えられた。特に、腎傷害の強い非髄境界部に着目したところ、PC(16:0/18:0), PC(16:0/18:1), PC(16:0/18:2), PC(18:0/18:2)が増加する一方、PC(16:0/22:6)は減少した。
次に、虚血再灌流傷害の後、経時的に腎臓をサンプリングし、遺伝子発現プロフィールを網羅的に解析した。その結果、PCの量的制御に関わる2経路(PC新規合成系とPE-PC変換系)の代謝酵素群の協調的な発現上昇が認められた。即ち、PC新規合成系としてChka/Chkbおよび律速酵素であるPcyt1a/Pcyt1b、PE-PC変換系としてPemtの発現がそれぞれ有意に上昇した。興味深いことに、PCをPSに代謝するPtdssの発現は有意に減少し、腎全体としてはPC量を増加させる応答が示唆された。以上のように、腎虚血再灌流傷害により、PCが量的、質的にダイナミックに変化することが明らかとなり、腎障害における意義が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、質量顕微鏡解析とトランスクリプトーム解析を施行し、腎虚血再灌流傷害によるリン脂質の量的、質的変化を明らかにした。

今後の研究の推進方策

これまでに観察したリン脂質の量的、質的変化が、腎傷害の発症・進展にどのように関与するかを、細胞レベルの検討も含めて実施する。

次年度の研究費の使用計画

事務手続きの関係上、次年度の使用額として計上することとなったため。
事務手続き上のことであり、次年度の消耗品費として計上する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Activating transcription factor 4 links metabolic stress to interleukin-6 expression in macrophages.2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Iwasaki, T. Suganami, R. Hachiya, et al.
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 63 ページ: 152-161

    • DOI

      10.2337/db13-0757

    • 査読あり
  • [学会発表] 腎虚血再灌流障害における新規病原体センサーMincleの意義2013

    • 著者名/発表者名
      菅波孝祥、田中 都、越智 梢、白川伊吹、池田賢司、小宮 力、小川佳宏
    • 学会等名
      第56回日本腎臓学会
    • 発表場所
      東京・東京国際フォーラム
    • 年月日
      20130510-20130512
  • [備考] 東京医科歯科大学臓器代謝ネットワーク講座

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/grad/cme/section/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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