研究課題
哺乳類細胞HeLa-S3細胞から大量のヒストン蛋白を抽出し、ペプチド切断酵素(lysyl endopeptidase及びendoproteinase Asp-N)を用いて蛋白を解析可能なペプチドまで消化した。そのペプチド溶液を液体クロマトグラフィーによって、合成したアセチル化ペプチド(RHR20KacVLR)を指標に分離した。質量分析機を用いて、精密に分子量を測定することによりRHR20KacVLRをRHR20Kme2VLRやRHR20Kme3VLRと区別することが可能となった。このことから、哺乳類細胞に存在することを証明した。また、このヒストン修飾に対するモノクロナール抗体を作成し、HeLa-S3細胞の核を染色したところ、今まで報告されていたヒストン修飾とは、染色パターンが異なっている事が判明した。この抗体とクロマチン免疫沈降したサンプルを次世代シークエンサーを用いてChIP-seqを行った。このデータをスーパーコンピューターを用いて解析し、世界中のデータベースに存在する既知のヒストン修飾のデータと網羅的に比較したところ、染色の結果と一致して、H4K20acが今まで報告されたどんなアセチル化修飾とも異なり、発現量の低い遺伝子のプロモーターに集積していることを見出した。この事は、H4K20acの集積しているプロモーター部位には、遺伝子発現増強因子は近づけないが、遺伝子発現抑制因子が近づくことができることである程度説明可能なことも発見した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Scientific Report
巻: 6 ページ: 24318
10.1038/srep24318