研究概要 |
生理的に産生されたamyloid β (Aβ)分子の立体構造変化の結果形成されるAβ重合体がアルツハイマー型認知症のシナプス障害・認知機能障害を引き起こす直接原因で治療標的であると考えられている(Aβ重合体カスケード仮説)。アルツハイマー型認知症モデルマウス脳内の神経細胞内外Aβ重合体蓄積抑制とシナプス・スパイン蛋白保護効果、記憶障害発症予防効果を有し先制医療にも応用可能なモノクローナル抗体(日本特願2008-201058, 米国特願12/533,294 & 12/533,348, Mol Neurodegener 2011)と、記憶障害回復と神経原線維変化形成阻止を可能とする根本的治療用抗体(日本特願2008-201058, 米国特願12/533,294 & 12/533,348, Life Sci 2012)開発に成功した。しかしながら、抗体は高コストで先制医療へのその使用は非現実的であり、予防を念頭に置いたワクチンによる根本的先制医療構築が必須である。本課題では高コストで予防治療(先制医療)の実現が困難な抗体医療に代わりに、より安価でADを予防的に根絶するAβ重合体標的ワクチンの開発を目標に研究を遂行した。15種類のAβ重合体特異的ワクチンの抗原取得に成功したが、免疫抗原活性基準を満たすものは1種類のみであった。研究開始半年間で、大分大学神経内科学講座教授として赴任したため、動物実験や前臨床試験施行に必要な大学内動物施設や手続き確認、さらに動物実験計画倫理委員会申請準備を行い、免疫抗原活性基準を満たす目標の2種類目のAβ重合体特異的ワクチンの抗原取得を目指している。
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