Aβオリゴマーはシナプス毒性を持ち、アルツハイマー病における記憶障害発症の分子基盤であり、創薬の標的分子と考えられている。本研究ではこれまで未開発のAβオリゴマーのみを標的としたワクチン(抗イデオタイプワクチン)を開発することで、抗体医療の最大の弱点とされる従来の中和抗体定説に挑戦した。しかし、中和抗体取得には成功したが、抗イデオタイプ抗体での免疫マウス血液中への抗体誘導が困難であった。今回の検討では、抗体療法で問題となる中和抗体生じても、自然免疫依存の生体内でワクチン的な効能を発揮する環境に至る可能性は極めて低いと考えられた。改めて、抗イデオタイプワクチン設計が必要と考えられた。
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