研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究は,近年飛躍的に進んでいる.中でも昨年のC9FTD/ALS (Frontotemporal Dementia and/or ALS)の原因遺伝子の発見は,極めて示唆に富む.見いだされた原因遺伝子は非翻訳領域のGGGGCC配列の増大であった.このような非翻訳領域のリピート病の病態機序は,筋緊張性ジストロフィー症,脆弱X症候群にて明らかにされており,スプライシング因子が,増大した繰り返し配列部に結合することにより,スプライシングの乱れが起こることで説明されている.一方,我々はTDP-43が多様なスプライシング体を持ち,一部は易凝集性を示すデータを得ている.このことから,C9FTDALSでは,スプライシング因子を介しTDP-43のスプライシングに影響を及ぼしTDP-43病理を呈すると推察した.本研究申請は,このスプライシング因子を特定し,両者の病態機序を繋げることを目的とする.GGGGCC繰り返し配列に結合する蛋白質の同定を試みG4C2繰り返し配列をもつRNAに結合する蛋白質をSDS-PAGEにて分離・展開した後にLC-MS/MSによる分析を行い,結合蛋白質を同定した.さらに既報からGGGGCC配列に結合すると考えられるいくつかのスプライシング因子が想定されている.我々は,TDP-43の自己発現調節機構の研究から,すでに主要なスプライシング因子である,SR蛋白,hnRNP蛋白の発現ベクター,siRNA,抗体を保有しており,それらの検討を行い、両者の核内挙動を明らかとした。
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