研究課題/領域番号 |
25670422
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂口 末廣 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (60274635)
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研究分担者 |
原 英之 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 特任助教 (40469953)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プリオン / 受容体 / 神経変性 / プリオン病 / クロイツフェルト・ヤコブ病 / 狂牛病 |
研究概要 |
プリオン病はプリオンの感染によって起こる神経変性疾患である。プリオンが感染するために、正常プリオン蛋白質(以下、正常プリオン)が神経細胞に発現する事が必須である。しかし、正常プリオン以外にもプリオン感染に必須な分子が存在する事が指摘されている。本研究では、この分子の同定にチャレンジする。このために、平成25年度には、正常プリオンを過剰発現するマウス線維芽細胞とマウス神経芽細胞腫由来N2a細胞クローンを樹立し、これらの細胞がプリオンに感染しにくいことを確認後、マウス脳cDNAライブラリーのプールをこれらの細胞に導入した後にプリオンを感染させ、どのcDNAライブラリーのプールを導入された細胞がプリオンに感染するようになったのか明らかにする。 我々は、まず、マウス正常プリオン発現ベクターをマウス線維芽細胞やN2a細胞に導入し薬剤選択後に、限界希釈法にて、正常プリオンを過剰発現するマウス線維芽細胞及びN2a細胞を樹立することに成功した。次に、樹立したこれらの細胞がプリオンに感染するのか否か解析した結果、樹立したN2a細胞クローンの中にプリオンに感染しにくいクローンを得ることが出来た。また、まだ予備的な実験段階であるが、樹立したマウス線維芽細胞クローンの中にもプリオンに感染しにくいクローンがあることを見出している。 既に我々は、200個の異なる遺伝子からなるマウスの脳cDNAライブラリーのプールを作製していた。本研究では、これらのcDNAプールを上記で樹立した細胞に導入し、その中からプリオン感染に関与するcDNAを同定することを計画している。そこで我々は、蛍光蛋白質発現ベクターを用いて、cDNAを最も効率よく導入する条件を検討した。その結果、最も効率よく蛍光蛋白質発現ベクターを導入する条件を決定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度内に、正常プリオンを過剰発現するマウス線維芽細胞やN2a細胞クローンを樹立し、これらの細胞がプリオンに感染しにくいことを確認後、マウス脳cDNAライブラリーのプールをこれらの細胞に導入した後にプリオンを感染させ、どのcDNAライブラリーのプールを導入された細胞がプリオンに感染するようになったのか明らかにする1次スクリーニングを終了する予定であった。しかし、正常プリオンを過剰発現するマウス線維芽細胞やN2a細胞クローンの樹立の途中で、コンタミネーションの問題が発生し、はじめからやり直さなければならなくなり、予定より時間を要した。また、樹立したこれらの細胞がプリオンに感染するのかどうか最終的に確認するために、一回の実験に約1ヶ月を必要とする感染実験を数回行なわなければならなくなり、予定より時間を要した。従って、現時点の実施状況としては、申請時の研究計画より2-3ヶ月の遅れとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を継続するのに必要な、プリオンに感染しにくい正常プリオンを過剰発現するマウス線維芽細胞やN2a細胞クローン、マウスの脳cDNAライブラリーのプール、及びcDNAライブラリーを最も効率よく導入する方法等に関しては、平成25年度内に解決している。申請時の研究計画より遅れているが、本研究の目的であるプリオン感染に必要な正常プリオン以外の分子の同定を行なえる状態にある。従って、今後も引き続き、申請時の計画に乗っ取り研究を行う。研究計画の遅れを取り戻すためにも、今後、研究代表者と研究分担者はさらに強力な連携をはかり研究を遂行していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
現時点の実施状況としては、申請時の研究計画より2-3ヶ月の遅れとなっている。この遅れのために、次年度使用額が生じた。 申請時の研究計画より遅れている実験を2-3ヶ月のうちに早急に行ない、それに伴い次年度使用額を執行する。
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