研究課題
多発性硬化症は、時間的空間的に多発する脱髄巣を特徴とする。臨床現場においてMRIのT2強調画像で高信号を呈する(T2-high)病変を一般に「脱髄巣」と呼称しているが、昨今の病理学的解析では、このようなT2-high病変は必ずしも現在の脱髄を示すものではなく、脱髄後に髄鞘再生が得られた治癒病変も含まれることが明らかになっている。結果、T2-high病変量と臨床的な神経学的症状の相関性は乏しく、clinico-radiological paradoxと呼ばれている。申請者らは、q-Space imaging法の応用により、MRIによって髄鞘を選択的に描出するミエリンマップ法を確立し、その臨床応用を開始している。本研究はミエリンマップ法による髄鞘可視化により多発性硬化症の病型細分類を可能にし、治療法選択の基盤とすることを目的とする。平成27年度においては、過年度に引き続き、約80名(多発性硬化症が約7割、残る3割は健常人や多発性硬化症関連疾患あるいは脳血管障害など)のミエリンマップを定期的にフォローしており、データの蓄積を進めている。その結果、特定の疾患修飾薬を投与された患者群において、髄鞘の再生が得られると同時に神経学的症状の改善が認められることが確認された。
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The Journal of Neuroscience
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