研究課題
挑戦的萌芽研究
近年、肥満に伴う代謝性疾患の発症・進展に、肥満関連ストレスセンサーであるインフラマソームが重要な役割を果たすことが明らかになってきた。申請者は、脂肪酸伸長酵素Elovl6のノックアウトマウスの解析から、生活習慣病の発症・進展における脂肪酸の質の重要性を明らかにし、また最近、Elovl6欠損マウスの初代肝細胞では、飽和脂肪酸であるパルミチン酸により惹起されるNLRP3インフラマソームの活性化と炎症が抑制されることを明らかにした。そこで本研究では、Elovl6によるインフラマソームの制御機構を肝細胞およびマクロファージで解析し、脂質蓄積病態において細胞内で量的・質的に変化してインフラマソームを制御する脂質の同定と、その脂質による炎症制御機構を分子レベルで明らかにすることを目的とする。本年度は、野生型およびElovl6欠損マウスの肝細胞とマクロファージのパルミチン酸(C16:0)によるインフラマソーム活性化の違いを評価するとともに、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を行った。Elovl6欠損マウスの肝細胞ではパルミチン酸によるIL-1betaの発現および分泌が抑制された。遺伝子発現解析から、WTとElovl6欠損マウスの肝細胞では取り込まれたパルミチン酸の代謝経路が異なることが明らかとなった。Elovl6欠損マウスのマクロファージにおいてもパルミチン酸によるインフラマソーム活性化が抑制される傾向が得られているが、各実験間でのばらつきが大きく、さらなる追試および実験条件の検討が必要である。
3: やや遅れている
一部の実験で、各実験間でのデータのばらつきが大きく、さらなる追試および実験条件の検討が必要であるため。
パルミチン酸を負荷した野生型およびElovl6欠損マウスの肝細胞、マクロファージの脂質分析を行う。また、肝細胞特異的Elovl6欠損マウスおよびマクロファージ特異的Elovl6欠損マウスを用いたin vivoでの炎症病態の解析を行う。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (2件)
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http://www.u-tsukuba-endocrinology.jp/
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