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2013 年度 実施状況報告書

甘味受容体の内因性リガンドの探索・同定: β細胞・脂肪細胞における機能の全容解明

研究課題

研究課題/領域番号 25670431
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関群馬大学

研究代表者

小島 至  群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード甘味受容体 / グルコース / グルコース感知受容体 / 糖代謝 / インスリン分泌
研究概要

本研究は,β細胞や脂肪細胞に発現する甘味受容体の内因性リガンドを探索同定することを目指し,それを通じて,この状態が糖代謝・エネルギー代謝における意義を明らかにすることを目的としている。研究計画を立案した当初は,糖代謝の中間産物を含む各種の代謝産物やアミノ酸を念頭において研究を準備し進めてきた。実際そのような検討によりいくつかの代謝産物に活性があることが判明した。しかし,実験を進める中で,生理的に最も重要な糖であるグルコースがこの受容体を活性化させること,さらにこれまで考えられてきたより遥かに低濃度でグルコースが甘味受容体を活性化させていることが明らかになった。つまりこの受容体のもっとも重要なリガンドはグルコースなのであった。膵β細胞ににおいては、非代謝性のグルコースアナログである3-O-メチルグルコース(3OMG)が甘味受容体を活性化し,細胞内でのグルコース代謝を促進することも明らかになったのである。つまり,インスリン分泌におけるもっとも重要な刺激物質であるグルコースは,細胞表面の甘味受容体を活性化して自身の代謝速度を加速させ,同時に細胞内へ取り込まれて基質を提供し、ATP産生を増加させているのである。本研究によりインスリン分泌調節におけるグルコース作用の新しい側面が明らかになった。またβ細胞だけでなく,脂肪細胞や小腸の内分泌細胞においても甘味受容体が「グルコース感知受容体」として機能していることも明らかになりつつある。今後はグルコース感知受容体である甘味受容体の機能と意義についてさらに研究を進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の当初の目的は,β細胞や脂肪細胞などの体内の臓器に発現する「甘味受容体の内因性リガンド」を探し出すことであった。この一年間の研究を通じて,生理学的に最も重要な糖であるグルコースがこの受容体のアゴニストとして機能することが明らかになった。さらにβ細胞においては,この受容体の刺激によりグルコース代謝が加速することも明らかになった。この結果は,従来のグルコースの作用機構に関する知見を一新するものであり、甘味受容体が問う代謝調節においてきわめて重要な役割を果たしていることが判明した。これらの結果から,本研究計画の遂行は,当初の予定以上に進展しているということができる。

今後の研究の推進方策

甘味受容体が「グルコース感知受容体」として機能していることが明らかになったので,今後はβ細胞、脂肪細胞、小腸内分泌細胞などにおいて,このグルコース感知受容体が果たしている役割を明らかにするとともに,糖尿病・肥満などの病態においてこの受容体がどのように変化しているか,その変化が病態の中でどのような意義をもつか,さらにはこのグルコース感知受容体を利用して新たな治療戦略が構築出来ないかなどを検討して行く予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Glucose promotes its own metabolism by acting on the cell-surface glucose-sensing receptor T1R3.2014

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa,Y., Ohtsu,Y., Nagasawa,M., Shibata,H. and Kojima,I
    • 雑誌名

      Endocr J

      巻: 61 ページ: 119-131

    • DOI

      10.1507/endocrj.ej13-0431

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel regulatory function of sweet taste-sensing receptor in adipogenic differentiation of 3T3-L1 Cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Masubuchi Y., Nakagawa Y., Ma J., Sasaki T., Kitamura T., Yamamoto Y., Kurose H., Kojima I and Shibata H.
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 8 ページ: E54500

    • DOI

      10.137/journal.pone.0054500

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of the parasympathetic nervous system in the initiation of regeneration of pancreatic beta-cells2013

    • 著者名/発表者名
      Medina, A., Yamada,S., Hara,A., Hamamoto,K. and Kojima,I.
    • 雑誌名

      Endocr J

      巻: 60 ページ: 687-696

    • DOI

      10.1507/endocrj.ej12-036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multimodal function of the sweet taste receptor expressed in pancreatic b-cells: generation of diverse patterns of intracellular signals by sweet agonists.2013

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa,Y., Nagasawa,M., Mogami,H., Lohse,M., Ninomiya,Y., and Kojima, I.
    • 雑誌名

      Endocr J

      巻: 60 ページ: 1191-1206

    • DOI

      10.1507.endocrj.ej13-0282

    • 査読あり
  • [学会発表] グルコース感知受容体T1R3によるインスリン分泌の制御2014

    • 著者名/発表者名
      小島至、中川祐子
    • 学会等名
      第87回日本内分泌学会総会
    • 発表場所
      福岡市福岡国際会議場
    • 年月日
      20140424-20140426
    • 招待講演
  • [学会発表] グルコース作用における甘味受容体の関与2013

    • 著者名/発表者名
      中川祐子、長澤雅裕、最上秀夫、小島至
    • 学会等名
      第56回に本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本市熊本市民会館
    • 年月日
      20130516-20130518
  • [学会発表] GLP1産生細胞における甘味受容体の「シグナル産生機構2013

    • 著者名/発表者名
      大津義晃、中川祐子、荒川浩一、小島至
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本市熊本市民会館
    • 年月日
      20130516-20130518
  • [学会発表] 甘味刺激によるGs活性化は微小間重合とRho活性化を介して脂肪分化を抑制する2013

    • 著者名/発表者名
      増渕洋祐、中川祐子、馬金輝、長澤雅裕、小島至、柴田宏
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本市熊本市民会館
    • 年月日
      20130516-20130518

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公開日: 2015-05-28  

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