研究課題
メトホルミン(Met)はマウス単離膵島においてインクレチン受容体の発現を上昇させる(Tajima et al. Plos One. 2013)。しかし、Metによるインクレチン受容体の発現制御機構、膵β細胞における影響は明らかではない。高脂肪食負荷マウスを用いてMetが膵β細胞に及ぼす影響を、さらにMetによる直接的な膵島保護作用、なかでも膵島移植生着率に寄与する膵島細胞中心壊死に与える効果を検討。高脂肪食(HF)負荷前のC57Bl/6JマウスにMetを48時間経口投与した結果、単離膵島ではGLP-1受容体発現は有意に増加、GLP-1によるグルコース応答性インスリン分泌(GSIS)も促進。一方、マウス単離膵島にMetを直接添加したところ、高グルコース(200 mg/dl)存在下でGLP-1受容体発現は低下。高脂肪食8週間負荷マウスでは、Met投与でインスリン抵抗性は改善、耐糖能は維持されたが、膵β細胞代償性過形成およびインスリン分泌亢進はMet非投与群と比較して抑制。膵島におけるGLP-1受容体発現は、高脂肪食負荷により有意に増加、Met投与で抑制。GLP-1によるGSISは両群とも同等。高脂肪食60週負荷マウスでは、Met投与により、体重、随時血糖、膵β細胞量、単離膵島のGSISに影響なし、インスリン抵抗性は有意に改善、高脂肪食負荷によるGLP-1受容体発現の増加を抑制。C57Bl/6Jマウス単離膵島(≧150 μm)を高グルコース(400 mg/dl)下で24、48時間培養すると、膵島細胞中心壊死を認めたが、Metの直接添加により有意に抑制。AMPK活性化薬AICAR添加にて、高グルコース下の膵島細胞中心壊死が有意に抑制。高血糖やインスリン抵抗性存在下では、Metは膵β細胞に対する代償性反応を抑制。全身インスリン抵抗性が改善された結果、膵β細胞機能も保護していることが示唆された。Metは高血糖下での膵島細胞中心壊死を抑制し、直接的な膵β細胞保護作用を有している可能性が示唆された。
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http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~nai3naib/