研究課題/領域番号 |
25670440
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
宮本 薫 福井大学, 医学部, 教授 (30125877)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | グルタチオンSトランスフェラーゼ / クロマチン構造変化 / SF-1 / 細胞分化 / ステロイドホルモン合成 |
研究概要 |
GSTAファミリーの全4遺伝子は250 kbにわたりクラスターを形成している。私どもは、これら全遺伝子がSF-1により制御されていること、genome-wideなChIP-on-Chip assayにより、GSTAファミリーのプロモーター領域では、GSTA3プロモーターにのみSF-1が結合していることを明らかにした。これらはGSTAファミリー遺伝子の転写が、クラスター全体の高次クロマチン構造の変換に依存していることを示している。また本研究ではクロマチン上でのlong-range interactionを検出できるChromosomal conformation capture (3c) assayを用いて、GSTAファミリー遺伝子のSF-1依存性高次クロマチン構造変換機構を解明した。 また、ChIP-on-Chipによる解析から250 kbにわたるGSTA遺伝子クラスター領域に6か所のSF-1結合サイト(GSTA3プロモーター領域を含む)が存在することを確認し、それぞれ6カ所のSF-1結合領域と4カ所のプロモーター領域との間で、核内で3次元的に近接しているかを3C-qPCR法で検討した。その結果、GSTAファミリーの全遺伝子プロモーター領域が、SF-1依存的に3次元的に近接することを証明し、SF-1依存性に高次クロマチン構造変換が生じることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Chip-on-chip assayをゲノムワイドに利用することで、GSTA familyのプロモーター領域では、GSTA3遺伝子プロモーターにのみSF-1が結合することを明らかに出来たことは、大きな成果であった。さらに、3C assayを確立し、GSTAファミリーの転写が、3次元的なクロマチン構造変化を介していることを証明できたことは大きな進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに領域を広げて、高次クロマチン構造変換の解析を行う。 そのためには、未知近接領域を同定できる4C法 が必要であり、本研究においては、GSTA1プロモーター領域と相互作用するクラスター外の領域を3C法に準じた実験プロトコールに従って4C法により解析し、GSTA遺伝子ファミリーの転写調節領域を同定する。 上述により同定した、GSTA遺伝子クラスター外に存在するGSTA遺伝子転写調節領域に関して、本年度に行ったと同様の方法で、先天性ステロイドホルモン産生異常症との関連を明らかにする。原因不明のnon-classic typeとして分類されている先天性ステロイドホルモン産生異常症の症例40例以上について、新たに同定された領域全体をCGH法により解析し、転写調節領域の変異・欠失に伴う高次クロマチン構造形成の異常と、症例との関係を明らかにする。
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