研究課題
悪性リンパ腫では、腫瘍細胞以外に種々の炎症細胞が腫瘍組織を構築している。炎症細胞の多くは造血幹細胞から派生するため、同じ造血幹細胞由来である腫瘍細胞とは、類似の起源を有することになる。本年は前年度までの研究から大幅に症例数を増やし、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の組織標本からレーザーマイクロダイセクションによって炎症細胞を分離し、DNAを調整してシークエンス解析を行った。また、前年までとは異なる抗体を用いた免疫染色によって細胞を分離し、確実にB細胞を分離した。その結果、腫瘍細胞と同一の遺伝子変異がB細胞にも同定されるケースが複数見出された。これらのケースでは、腫瘍化したT細胞と炎症細胞であるB細胞との共通の前駆細胞の段階で遺伝子変異を獲得してクローン性増殖をきたしたと考えられる。このクローン性細胞は前がん細胞とも考えられるが、この共通前駆細胞からT細胞性の腫瘍細胞と、非腫瘍細胞であるB細胞が派生し、このようなB細胞は腫瘍の微小環境細胞として腫瘍の成長に寄与している可能性が考えられる。
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Annals of Hematology
巻: EPUB ahead of print ページ: Feb 17
10.1007/s00277-015-2332-0
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