我々はまず、過度な分裂の繰り返しによって造血幹細胞におけるPot1の発現が低下することを見出した。そこで外因性にPot1を供給することで造血幹細胞のテロメア保護作用を維持し、DNA損傷応答や細胞老化を抑制できることを見出した。さらに、増幅された細胞の骨髄再構築能に基づく幹細胞活性も対照群と比較して有意に高いことから、機能性の造血幹細胞が増幅されたと考えられた。一方で、ヒト造血幹細胞に対しても、同様に培養下でhPOT1の供給を行うことで、DNA損傷応答を軽減し、高い幹細胞活性を示すヒト造血幹細胞を増幅することができた。今後、この培養技術をもとにした安全かつ効率的な体外増幅技術の確立が期待される。
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