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2013 年度 実施状況報告書

ゲノム多型とトランスクリプトーム解析の連結による、膠原病「鍵分子」の探索

研究課題

研究課題/領域番号 25670458
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関筑波大学

研究代表者

土屋 尚之  筑波大学, 医学医療系, 教授 (60231437)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード全身性エリテマトーデス / ANCA関連血管炎 / ゲノム多型 / トランスクリプトーム
研究概要

近年のゲノム解析研究により、多くの膠原病で、疾患感受性遺伝子が明らかになってきた。一方、トランスクリプトーム解析では、全身性エリテマトーデス(SLE)を始めとする各種膠原病において、I型インターフェロン経路の活性化(type I IFN signature)が報告されている。しかし、SLEにおいても、type I IFN signatureが観察されるのは半数前後との報告も存在し、トランスクリプトームによって規定されるサブセットの存在が示唆される。本研究は、膠原病患者群内におけるトランスクリプトームによるサブセットと、それに関連するゲノム多型を見出し、膠原病の病態を規定する鍵分子を検出することを目的として開始した。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)は、ANCAの特異性により、myeloperoxidase (MPO)-ANCA陽性AAV、proteinase 3(PR3)-ANCA陽性AAVに分類されるが、これらのトランスクリプトームの違いに関する研究はこれまでほとんど見られない。本年度は、I型インターフェロンや炎症性サイトカインの発現を誘導するIRF5の発現量に関連するSNPとAAVとの関連を検討し、MPO-ANCA陽性AAVでは、SLEなど他の膠原病とは異なり、IRF5の低発現型がリスクに関連することを見出した。この傾向はPR3-ANCA陽性AAVでは見いだされておらず、IRF5がAAVの病型を決定する一つの因子である可能性が示唆された。
以上の結果を受け、本研究においては、SLEとともに、AAVも対象とすることとし、研究協力施設に依頼し、活動性SLE、AAV検体収集を開始した。現在までに8検体が収集されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

SLE, AAVそれぞれ10例を目標に、複数の臨床施設の協力を得て、トランスクリプトーム解析試料の収集を行っているが、活動性SLE, AAVが稀少であり、現在まで、合わせて8検体にとどまっている。トランスクリプトーム解析は全検体を同時に解析することが適切であるため、次年度に施行することとした。

今後の研究の推進方策

研究協力施設を増やして検体収集を進める。平成26年10月までに収集しえた検体でトランスクリプトーム解析を行い、SLEとAAV、MPO-ANCAとPR3-ANCAの比較、SLE群内にサブセットが見られるかどうかを決定する。合わせて、これらの検体の多型解析を施行し、各病型とトランスクリプトームの関連、トランスクリプトームとゲノム多型の関連を解析する。

次年度の研究費の使用計画

当初、活動性SLEを対象としてトランスクリプトーム解析を予定し、研究協力施設に呼びかけて検体収集を試みたものの、予想外に対象となる患者が少なかった。このこと、および、AAVにトランスクリプトームによるサブセットが存在する可能性を示唆する知見が得られたことにより、対象をAAVにも広げ、SLEとあわせ、平成26年度も検体収集を継続することとした。全検体を一度に解析することが適切であるため、平成25年度にトランスクリプトーム解析のために予定した使用額を次年度に持ち越し、平成26年度に、SLEおよびANCA関連血管炎両方のトランスクリプトーム解析を実施する計画とした。
次年度使用額に加え、平成26年度申請額の一部を使用し、SLEおよびANCA関連血管炎のトランスクリプトーム解析を施行する。このために、約210万円の研究費を使用予定である。その後、免疫系遺伝子を対象とした多型解析を施行し、遺伝子多型とトランスクリプトームの関連を解析する。このために約60万円を使用する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Identification of secreted phosphoprotein 1 gene as a new rheumatoid arthritis susceptibility gene.2014

    • 著者名/発表者名
      Gazal S, Sacre K, Allanore Y, Martin J, Tsuchiya N, Dieude P, et al.
    • 雑誌名

      Ann Rheum Dis

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1136/annrheumdis-2013-204581

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Association of IRF5 polymorphism with MPO-ANCA positive vasculitis in a Japanese population.2013

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki A, Inoue N, Ajimi C, Sada K, Kobayashi S, Yamada H, Furukawa H, Sumida T, Tohma S, Miyasaka N, Matsuo S, Ozaki S, Hashimoto H, Makino H, Harigai M, Tsuchiya N.
    • 雑誌名

      Genes Immun

      巻: 14 ページ: 527-529

    • DOI

      10.1038/gene.2013.45.

    • 査読あり
  • [学会発表] IRF2多型の全身性エリテマトーデス疾患感受性への寄与2014

    • 著者名/発表者名
      川崎綾、古川宏、近藤裕也、伊藤聡、松本功、草生真規雄、天野浩文、須田昭子、長岡章平、瀬戸口京吾、永井立夫、廣畑俊成、島田浩太、杉井章二、岡本享、千葉実行、末松栄一、岡本明子、河野肇、髙崎芳成、橋本博史、住田孝之、當間重人、土屋尚之.
    • 学会等名
      第58回日本リウマチ学会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪(東京都)
    • 年月日
      20140424-20140426
  • [学会発表] IRF2 機能的多型と全身性エリテマトーデスの関連2013

    • 著者名/発表者名
      川崎綾、古川宏、西田奈央、蕨栄治、近藤裕也、伊藤聡、松本功、草生真規雄、須田昭子、長岡章平、瀬戸口京吾、永井立夫、廣畑俊成、徳永勝士、高崎芳成、橋本博史、住田孝之、當間重人、土屋尚之
    • 学会等名
      第58回日本人類遺伝学会
    • 発表場所
      江陽グランドホテル(宮城県仙台市)
    • 年月日
      20131120-20131123
  • [学会発表] Association of functional polymorphisms in IRF2 with systemic lupus erythematosus (SLE) In a Japanese Population.2013

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki A, Furukawa H, Nishida N, Warabi E, Kondo Y, Ito S, Matsumoto I, Kusaoi M, Suda A, Nagaoka S, Setoguchi K, Nagai T, Hirohata S, Tokunaga K, Takasaki Y, Hashimoto H, Sumida T, Tohma S, Tsuchiya N.
    • 学会等名
      2013 American College of Rheumatology Annual Scientific Meeting
    • 発表場所
      San Diego Convention Center(アメリカ合衆国)
    • 年月日
      20131026-20131030
  • [備考] 筑波大学医学医療系 分子遺伝疫学研究室

    • URL

      http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/publicmd/GE/

  • [備考] 自己免疫疾患のゲノム解析

    • URL

      http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/publicmd/GE/research/category01/

  • [備考] メンバー 土屋尚之

    • URL

      http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/publicmd/GE/member/tsuchiya.php

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公開日: 2015-05-28  

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