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2013 年度 実施状況報告書

樹状細胞の小胞輸送を標的とした抗炎症薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25670460
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関京都大学

研究代表者

門脇 則光  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60324620)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード樹状細胞 / I型インターフェロン / 小胞輸送 / キナーゼ
研究概要

Srcファミリーキナーゼ(SFK)およびそれ以外の多数のキナーゼを阻害するダサチニブは、Toll-like receptor (TLR)9リガンドCpG DNAの刺激を受けた形質細胞様樹状細胞(pDC)によるインターフェロン(IFN)-alphaの産生を阻害する。その際の責任キナーゼには、SFKとそれ以外のキナーゼがあることをこれまでの研究で明らかにしている。これらの責任キナーゼを絞り込むために、さまざまなキナーゼ阻害剤の存在下にヒトpDC腫瘍由来細胞株P716をCpG DNAで刺激し、培養上清のIFN-alphaをELISAにて測定した。用いるキナーゼ阻害剤として、ダサチニブの主要な標的であるSrcファミリーキナーゼを阻害せず、ダサチニブの標的キナーゼのうち5種類以上を阻害する阻害剤Go6976とEGFR/ErbB-2/ErbB-4 inhibitorを選択した。その結果、EGFR/ErbB-2/ErbB-4 inhibitorはIFN-alpha産生を阻害しなかったが、Go6976は阻害した。したがって、ダサチニブの標的キナーゼのうちGo6976で阻害されEGFR/ErbB-2/ErbB-4 inhibitorで阻害されないキナーゼが、Srcファミリーキナーゼ以外でpDCのIFN-alpha産生に必要なキナーゼの候補である。そのようなキナーゼを21個ある。また、ウェスタンブロットにより、P716は7個のSrcファミリーキナーゼおよびその関連キナーゼを発現していた。以上より、pDCのIFN-alpha産生に必要なキナーゼの候補は計28個に絞られた。
また、Amaxa Nucleofectorによるエレクトロポレーションにて蛍光標識siRNAをP716に導入できること、MyD88に対するsiRNAにてMyD88蛋白の発現が抑制されることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エレクトロポレーションにてP716へのsiRNAの導入が可能であることを確認した。この状況で、キナーゼに対するsiRNAライブラリーを用いて、IFN-alpha産生の責任キナーゼを網羅的に探索することは可能だが、コストがかかることから、既存のキナーゼ阻害剤を利用して候補キナーゼを28個に絞り込んだ。この数であれば、カスタムsiRNAライブラリーを用いることにより、コストダウンと実験の簡便化を図ることができる。このように次年度の研究を効率よく進める準備を終えているので、ほぼ当初の予定通り順調に研究を進めていると判断した。

今後の研究の推進方策

絞り込んだ候補キナーゼに対するカスタムsiRNAライブラリーを用いて、IFN-alpha産生に必要なキナーゼを同定する。これらのキナーゼの基質を同定するために、連携研究者・石濱 泰教授の協力を得て、リン酸化プロテオーム解析を行う。
これらの実験で得たキナーゼ、基質の発現分布を末梢血各細胞分画、各種臓器由来の正常細胞・がん細胞株を用いてRT-PCRにて解析し、創薬標的とする場合に副作用が少ないと想定される分子を見いだす。
また、上記のキナーゼ、基質をノックダウンすることによって、P716におけるCpG DNAの早期エンドソームへの滞留が消失するキナーゼ、すなわちCpG DNAを早期エンドソームに滞留させるキナーゼを、共焦点顕微鏡を用いた観察で同定する。
以上の実験により、(1)pDCのIFN-alpha産生を抑制することにより炎症性疾患を制御するための創薬標的を同定するとともに、(2)小胞輸送の新たな分子機構を見いだし、細胞生物学的な新知見を得ることを目指す。

次年度の研究費の使用計画

当初予定していたキナーゼsiRNAライブラリーによる網羅的なノックダウン実験が不要になったため、次年度使用額が生じた。
次年度使用額をカスタムsiRNAライブラリーによる実験、さらにその後のリン酸化プロテオーム解析に用いる。

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公開日: 2015-05-28  

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