研究課題
平成26年度の実績として、健常人単離好中球と血管内皮細胞EA,hy926細胞の接着性を試験管内実験で評価し、HRGの添加効果について明らかにした。その結果HRGは、無刺激下の好中球接着を有意に制御することがわかった。ヒト好中球をFACS解析し、無刺激下ならびにIL-8, C5a, f-MLP刺激による活性化CD11b発現量を測定した。ヒト血漿アルブミンを対照薬とした時HRGは、非刺激時ならびに各アゴニストによる刺激時CD11b発現をいずれも有意に抑制した。HRGにより正球化した時の好中球内部の細胞骨格をF-アクチン染色で調べたところ、正球化した好中球では、モノマ-アクチンよりF-アクチンの存在が優位であり、細胞形質膜直下にF-アクチンが環状構造を作っていることがわかった。一方、HRG非存在下では、モノマ-アクチンが細胞質領域に優位に存在した。HRGとインキュベーションによって、非常に立ち上がり速度の遅い細胞内カルシウムレベルの上昇が生じることがわかった。HRGの好中球正球化作用はPI3-Kの阻害薬によって遮断される可能性が示唆された。全期間を通じた研究で、マウスのCLP敗血症モデルにおけるヒト血漿HRG投与の致死率低下作用を明瞭に示すことができた。HRG投与は肺微小血管床における好中球接着の抑制と、随伴する炎症性サイトカインの産生抑制を介して作用している可能性が強く示唆された。ヒト末梢血単離好中球を用いた試験管内実験で、HRGの好中球正球化作用、微小流路通過維持作用、活性酸素産生抑制作用、血管内皮細胞接着抑制作用が示され、いずれも敗血症マウスの致死抑制に関与する作用と推定された。
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