研究課題/領域番号 |
25670474
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西小森 隆太 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70359800)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 寒冷刺激 / インターフェロン / 炎症 / Aicardi-Goutieres症候群 / CAPS / NLRP3 / パターン認識受容体 |
研究概要 |
レイノー現象に代表される寒冷刺激に伴う炎症機序は未だ明らかにされておらず、その解明は患者QOLの改善に寄与し、寒冷という物理的刺激に対する生体応答の解明につながる。我々はこれまで寒冷刺激が発症に関わるメンデル遺伝疾患のCryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)、Aicardi-Goutieres症候群(AGS)の診療に関わってきた。本研究では、2症候群をモデルとして、寒冷誘発による炎症発生機序の解析を試みる。 H25年度は、樹立済みのCAPS患者由来のiPS細胞を用いて、寒冷刺激によるトランスクリプトーム解析をおこなった。AGS患者由来iPS細胞作成のため、新規患者検体を集積し、その原因遺伝子解析を行い各遺伝子変異別のAGS患者の同定をおこなった。その過程で、既知原因遺伝子に異常を認めないAGS3症例を同定し、いずれも冬期の凍瘡を認めない表現型をとっていることがわかった。寒冷刺激によるAGSの炎症病態を考察する上で、この3症例は大変興味深く、原因追及により重要な知見がえられる可能性が高いため、whole exome 解析により原因遺伝子探索をおこなった。結果、3家系で共通の遺伝子に変異を同定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
寒冷刺激による炎症を主症状とするCAPSにおいてiPS細胞を作成し、トランスクリプトーム解析をおこない、現在解析中である。AGS患者の集積、その遺伝子解析を終了し、AGS特異的iPS細胞作成にとりかかっている。その過程で、AGSの新規原因遺伝子を同定でき、AGSの病態を考える上で、重要な知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
従来の予定通り、疾患特異的iPS細胞作成、各標的細胞への分化系の確立、その細胞における寒冷誘発トランスクリプトーム解析をまず行っていく。 さらにAGSでは、寒冷誘発炎症がおきやすいAGSとおきにくいAGSが存在する事がしられており、AGSにおける両群の違いにも注目して解析をすすめる。 新規原因遺伝子によるAGSの病態解明をすすめることは、AGSにおける寒冷誘発炎症の機序解明において重要な示唆を与える可能性があり、積極的に推進する。またその新規性も重要と考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
AGSの原因遺伝子解析を行ったが、AGS特異的iPS細胞作成完了までいたらなかったため、予想した費用よりもすくなかった。 H26年度には、予定したAGS疾患特異的iPS細胞作成を完了させるとともに、予定した標的分化細胞への分化、トランスクリプトーム解析を行う。 またAGS新規原因遺伝子の疾患原性等、機能解析もあわせて進めていく。
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