レイノー現象に代表される寒冷刺激に伴う炎症機序は明らかにされておらず、その解明は患者QOLの改善、寒冷という物理的な刺激に対する生体応答の解明につながる。今回、寒冷刺激で炎症が惹起されるAicardi-Goutieres症候群をとりあげ、病態を解析することにより寒冷誘発炎症の発症機序の解明を目指した。 前年度の研究でIFIH1遺伝子がAicardi-Goutieres症候群の新規遺伝子であることをまとめて報告した。今年度は同定された患者IFIH1変異をもつ遺伝子改変マウス作成を試み、患者変異IFIH1を有するトランスジェニックマウスを作成した。現在、Ⅰ型インターフェロンの発現上昇、Aicarudi-Goutieres症候群でみられる頭部の石灰化、寒冷刺激にともなう炎症等の表現型を検討中である。 3年間の研究の成果として、Aicardi-Goutieres症候群の変異陰性症例から同症候群の新規責任遺伝子を同定、Aicarudi-Goutieres症候群の7番目の責任遺伝子としてIFIH1を報告することができた。さらに、Aicarudi-Goutieres症候群の患者由来iPS細胞の樹立、患者変異を有する遺伝子改変マウスを作成できた。今後、寒冷刺激に伴う炎症の発症機序の解明を行うとともにAicardi-Goutieres症候群の病態解析を行い、最終的に患者QOLの改善に寄与する成果をあげたい。
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