研究実績の概要 |
1) 患者におけるIL-17産生細胞への分化障害の機序の同定 STAT1機能獲得性変異を有する患者では、末梢血中に存在するIL-17産生細胞が減少しており、CMCD発症に関与していると考えられている。我々は、その分子メカニズムの解明が患者の治療に役立つと考え、患者でIL-17産生細胞が減少する機序を検討した。ナイーブT細胞をIL-1β、IL-23存在下で12日間培養し、IL-17産生細胞を誘導する条件を確立した。その条件で、患者においてIL-17産生細胞の分化障害を認めた。IFN-a/b, IFN-g, IL-27はナイーブT細胞からIL-17産生細胞への分化に抑制的に働くことが知られていることから、患者におけるIFN-a/b, IFN-g, IL-27に対する感受性の亢進がIL-17産生細胞への分化障害の原因になっているという作業仮説のもと研究を行った。先ほどの分化条件にIFN-a/b, IFN-g, IL-27を添加して検討したところ、患者においてIL-17産生細胞への分化抑制効果が強くも認められた。このことから、IFN-a/b, IFN-g, IL-27に対する感受性の増強が、IL-17産生細胞への分化障害に関与していると考えられた。 2) IFN-a/b, IFN-g, IL-27中和抗体の検討 先ほどの確立した分化条件を用いてIFN-a/b, IFN-g, IL-27中和抗体の効果を検討した。患者において、中和抗体によるIL-17産生細胞への分化障害の改善を認めた。一方で健常者では、中和抗体は無効で、IFN-a/b, IFN-g, IL-27の抑制が治療に有効と考えた。 3) ノックインマウスの作成 難航したが、最終的にノックインマウスの作成に成功した。今後、作成したノックインマウスの表現系の確認、感染実験などを予定している。
|