研究課題
挑戦的萌芽研究
1.既にワクチンとして用いられているRotarix を細胞培養しウイルス培養液を得た。われわれが過去分離したG4型のオデリア株はRotarixと同様に細胞培養が出来た。2.既に作製済みのNoV GII.4(2006b)を組み込んだバキュロウイルスからVLP タンパクを増した。NoV GII.4 (2006b)、GII.4(2012)、GII.3のVLPを準備した。3.RV (ワクチン株)+NoV VLP をマウスに経口投与し免疫系の賦活活性を調べた。【材料と方法】NoV GII.4 VLPと市販ロタウイルスワクチン(Rotarix)をマウスに0日と21日経口免疫を2回行いその免疫反応を解析した。7週令Balb/cマウスに100μgのVLPおよびRotarixを接種し7日毎に63日まで血清及び便を採取した。NoV 抗体検出はGII.4 VLPを、ロタウイルス(Rota)抗体検出にはRIX4414株を抗原とし、血清中のIgG抗体、便中IgA抗体をELISA法にて測定した。【結果と考察】 NoV VLPとRotarixを混合接種後、便中特異IgA抗体をみると、Rota抗体は免疫7日目から上昇し、56日まで抗体価を維持し、NoV抗体は21日から上昇し63日まで有意に検出された。血清IgGにおいてはRota抗体は免疫56日後と63日後に検出され、NoV抗体は免疫35日後から63日まで有意に検出された。NoV混合投与ではRotarix単独投与に比べRota IgG抗体検出日に相異がみられるがRota IgA抗体では検出日の差はなかった。NoV GII.4とRotaワクチンとの混合接種で両者に対する抗体が有意に検出され、混合接種効果が確認され、実用できる可能性が示唆された。4.上記の結果は平成26年6月の日本臨床ウイルス学会で発表する。
2: おおむね順調に進展している
今回の計画の根幹であるロタウイルスおよびノロウイルスの混合接種を経口で行うことができ、各々のウイルスに対する抗体の上昇を見ることができた。ノロウイルス単独についてはすでに実験を行って成果を得ていて今回もロタウイルスワクチンとの混合接種でも同様な結果を得ることができた。我々の培養したTMC-Iは今回使用する候補にしなかったがRotarixワクチン株と同じGIP[8]に属することからこのワクチン株を用いることに問題はない。インターフェロン産生については、以前に成果を得てインターフェロン産生を見ており、今後として次年度の計画に加える予定である。学会への発表が採択されていることから一定の成果が評価されたと考える。組換えロタウイルスVP6を作ることが25年度ではできなかった。26年度には行う。
1.平成25年度にできなかった組換えロタウイルスVP6の発現をバキュロウイルス系を用いて行う。VP6あるいは不活化したロタウイルス全粒子とノロウイルスVLPをマウスの皮下接種により抗体の上昇、インターフェロン産生の増加を見る。2.マウスへのワクチン接種後にヒトRVおよびNoVを感染させる。マウスへのワクチン有効性確認のため、臨床状態の観察と免疫反応の賦活化状況を調べる。3.また無菌仔ブタへのヒトRVおよびNoVの感染実験を次年度の準備実験として行う。すなわちヒト患者から得たヒトNoVを仔ブタに経口投与し下痢が生じるか検討する。現時点で子ブタを飼育できる環境を検討する。4.1~2年間の成果をまとめ次年度学会等に報告する。
繰り越しは当該年度の2月、3月実施分の人件費が3,4月支給のため次年度の4,5月に当該年度2,3月実施分が支払われる
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件)
Plos One
巻: 9(2) ページ: e89071
10.137/journal.pone. 0089071
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