研究課題/領域番号 |
25670479
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
牛島 廣治 日本大学, 医学部, 客員教授 (10091068)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ロタウイルス / ノロウイルス / 混合ワクチン / マウス実験 / 経口投与 |
研究実績の概要 |
1.昨年度ロタウイルスワクチン株(生、Rotarix社)とNoV VLP(GII.4)の成熟マウスに経口投与し免疫系が賦活化されること、即ち糞便中にそれぞれのウイルスに対するIgA抗体の上昇、血清中のIgG抗体の上昇を見た。したがって混合ワクチンが出来ることを確認した。この結果を平成26年6月の臨床ウイルス学会で報告した。また、ノロウイルスVLP(GII.4)を胃内ゾンデで接種する方法と吸わせる方法を行い、通常の経口接種が出来ることを確認し、論文としてまとめた。2.ヒトでの接種を想定し子マウスを用いて、我々の有するロタウイルスのオデリア株(G4P[8])とワクチン株を用いて腸管内での増殖や下痢、体重の減少を調べた。オデリア株では肉眼的に下痢は認めにくいものの、ワクチン株では下痢の症状が僅かながら見られた。また、腸管を胃下部から肛門までを3等分しウイルスの増殖を調べた。ウイルスが腸管内で増殖することを調べている。体重の減少は対照と比較し僅かに見られた。この事からロタウイルスのオデリア株はワクチンの候補として用いることが出来ると考えられた。3.不活化ロタウイルスワクチンの目的のためにロタウイルスVP6蛋白をバキュロウイルス系発現を用いて人工的に作製した。これを用いて抗体の作製をするとともに、皮下接種ではIgG抗体の上昇が見られることを確認した。4.当初の計画ではミニブタの使用を考えたが、現在、ブタ流行性下痢(PED)がわが国でも流行していることからブタの購入が困難であった。代わりにインターフェロン欠損のマウス、子マウスを購入し実験を行うことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロタウイルスの感染実験で、オデリア株とRotarixワクチン株を子マウスに経口接種を行い軽度の下痢状態を作成できた。また糞便、消化管組織においてわずかながらロタウイルス遺伝子を検出したが、抗原をイムノクロマトで見出される量ではなかった。ノロウイルスの子マウス実験は現在進行中である。将来のロタウイルス、ノロウイルスの皮下接種による不活化ワクチンの動物実験のために人工的に不活化ワクチンとして使用できるロタウイルスVP6を作製し、家兎で抗体の上昇を確認した。無菌子ブタを入手できずこの段階で今年度は終わった。
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今後の研究の推進方策 |
この結果を基にして幾つかの新しい実験が可能である。1.母親マウスにロタウイルスワクチン株とノロウイルス株を接種する。そして生まれた子マウスに改めてロタウイルス株またはオデリア株とノロウイルス株を接種し、下痢が生じないか、ウイルスが腸管で増殖しないか、体重の減少が無いかを見る。また子マウスの抗体がどのように上昇するのかを見る。 2. 成熟マウスおよび子マウスにノロウイルスVLPとロタウイルスVP6を経口接種する。免疫が上昇することを確認する。 腸管免疫が出来ることを確認する。 3.TLR3(インターフェロン産生)ノックアウト成熟マウスに対してノロウイルスVLPとロタウイルスVP6を同時、ロタウイルス株、ノロウイルス株、ロタウイルス株とノロウイルス株の同時を経口接種する。免疫の状態とみる。生ウイルス使用したマウスでは下痢、排泄ウイルス量および体重について観察・測定をする。 4.成熟マウス、成熟TLR3欠損マウスにノロウイルスVLPとロタウイルスVP6を同時に経口接種し、3週目に生ロタウイルス株と生ノロウイルス株を同時に経口接種し下痢、排泄ウイルス量および体重について観察・測定をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費の2,3月実施分の支払いのため
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次年度使用額の使用計画 |
人件費を4,5月に支給のため
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