研究課題/領域番号 |
25670483
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
柏倉 淳一 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (90373290)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / ヒスタミン遊離因子(HRF) / マスト細胞 |
研究概要 |
本年度は食物アレルギーマウスモデルを用いて、血中HRF/HRF反応性抗体価の変動およびHRF阻害剤による食物アレルギー反応の軽減の有無について検討した。1、Balb/cマウスをOVA+Alumで感作後、OVAを経口投与し下痢発症前後のHRF反応性抗体価を比較したところ、下痢発症マウスでは血中HRF反応性IgG量が有意に増加した。また血中HRF量に関しても上昇傾向が見られた。一方、食物アレルギー反応が見られなかったPBS感作/OVA経口投与マウスではこれらの値は上昇しなかった。この結果から、食物アレルギーにおいてHRFおよびHRF反応性抗体は何らかの作用があることが示唆された。さらに、HRFやHRF反応性抗体価を測定することは食物アレルギーの発症もしくは重症度を客観的に判断するための新たなマーカーになる可能性が考えられ、臨床的観点からも重要な結果である。2、我々が以前開発しマスト細胞依存性喘息症状に効果を示したHRF阻害剤GST-N19(以下N19)の食物アレルギーに対する影響を検討した。Balb/cマウスをOVA+Alumで感作し、OVAを経口投与すると下痢症状が発症するが、N19を全OVA経口投与の30分前に経口投与しOVA誘導性の下痢症状の変化を観察したところ、非投与群およびGSTコントロール群と比較してN19投与群では一部のマウスで食物アレルギー反応が抑制された。このことから我々が開発した阻害剤が食物アレルギーに対して予防的効果を示すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、当該研究申請書に記載した食物アレルギーマウスモデルにおけるHRF反応性抗体価の測定と臨床症状との関連および阻害剤の効果を検証することに成功し、研究計画通りに研究は遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
C57BL/6Jマウスでは下痢発症が観察されないためのマスト細胞欠損マウスを用いた当初の研究計画の変更が必要である。具体的にはBalb/cマウスに抗c-kit抗体を投与しマスト細胞を欠損させるマウスモデルもしくはBalb/c Backgroundのジフテリア毒素誘導性マスト細胞欠損マウスを入手し代替方法をして研究を行う予定である。 食物アレルギー患者におけるHRFおよびHRF反応性抗体価に関しては共同研究先と連携して測定を行う予定である。
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