妊娠前糖尿病では、胎児・新生児に先天異常の発症リスクが高まることが疫学調査から明らかになっている。しかしながら、そのような先天異常が引き起こされる分子機構の理解は不十分である。本研究では、妊娠前糖尿病において内臓錯位の発症リスクが亢進する現象に着目し、マウスにおいて高血糖が胚の左右軸形成に及ぼす影響を解析した。ストレプトゾトシン誘発の糖尿病マウスを用いた解析、及び高濃度グルコースの全胚培養によって、高濃度グルコースは左側側板中胚葉におけるNodal-Pitx2発現を阻害することが明らかになった。ヒト妊娠前糖尿病における右側相同は、このメカニズムによって説明できるかもしれない。
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