研究課題
挑戦的萌芽研究
蒙古斑は、主に乳幼児の臀部にみられる先天的に発生する青色斑であり、病理組織学的にはメラニンを活発に合成する真皮メラノサイトの集簇である。通常5~8 歳頃に自然消退する。民族間で出現頻度に差がみられ、モンゴル人や日本人ではほとんど現れるが、インド・ヨーロッパ語族の幼児で1-10%と言われている。我々の知る限り、これまで蒙古斑の出現に関わる遺伝子については報告がない。そこで、本研究は蒙古斑の形成に関わる遺伝子を明らかにし、その機能解析を行なうことを目的とする。そして、蒙古斑形成に関与する遺伝子を明らかにすることにより、その結果を真皮メラノサイトが関わる疾患研究へ展開する。モンゴル国の西部に位置するウブス県タリアラン村にKhoton と呼ばれる約9,000人の少数民族には同じ家系内でありながら、出生時に蒙古斑を持つ子供と持ってない子供を有する家系(蒙古斑形質分離家系)が存在する。そこで、その家系を見つけ、その唾液をDNA 採取キットを用いて採集し、genomic DNA を抽出して連鎖解析法にて関連遺伝子を明らかにする。我々は本年度(平成25年8月)、現地に出向き、蒙古斑形質分離家系2家系の家族の協力を得てDNAを採集した。また日本国内においても分離家系を見つけ、これまでに計4家系のサンプルを採取した。モンゴルにおける蒙古斑形質分離家系の発見や試料サンプリングのコーディネートは、モンゴル医学研究所のProf. Munkhbat の協力を得て行なった。今後は、蒙古斑形質分離家系より得られたgenomic DNA と全ゲノムマイクロアレー(125万マーカー数)を用いて、連鎖解析法にて関連遺伝子の染色体上の場所を特定し、最終的には関連遺伝子を同定する。
2: おおむね順調に進展している
これまでに既に4つの独立した分離家系の試料を収集に成功し、得られたgenomic DNA と全ゲノムマイクロアレー(125万マーカー数)を用いて連鎖解析を行っている。これは、ほぼ計画通りである。
連鎖解析法にて関連遺伝子の染色体上の場所を特定し、最終的には関連遺伝子を同定する。そして、蒙古斑における蒙古斑関連遺伝子の発現を免疫組織化学的方法にて確認する。その後、蒙古斑関連遺伝子の機能を明らかにする。真皮メラノサイト(蒙古斑細胞)がその発症に関わっている疾患の病理組織標本を用いて、蒙古斑関連遺伝子の発現を検索する。つまり、太田母斑、後天性太田母斑様メラノージス、色素血管母斑症、さらに青色母斑、真皮悪性黒色腫、悪性黒色腫の真皮内浸潤等の疾患における蒙古斑関連遺伝子発現や機能を明らかにする。特に、悪性黒色腫における本遺伝子の発現は臨床的に重要と予想されることから、数多くの標本で検討し、悪性黒色腫の真皮浸潤における本遺伝子の機能・役割を詳細に検索する。
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