研究課題
挑戦的萌芽研究
白皮症を治療する方向での研究はこれまでほとんどなされてこなかった。平成24年度の研究成果を踏まえて、リードスルー効果による白皮症治療の研究を推進した。日本人OCA1のチロシナーゼ変異として一番頻度が高いものはP310incCの54%であり、次にR77Qで20%、その次がR278Xナンセンス変異であり9%となっている。このR278については、ミスセンス変異の報告がなく、違うアミノ酸が置換されたとしても酵素としての機能は保たれる可能性が高い。ナンセンス変異に対する、リードスルー効果の高い薬剤としてすでに、アミノグリコシドは翻訳を止めないように働くことが知られている。日本人OCA1に頻度が高いR278X変異について、アミノグリコシドによる治療が可能かどうかについての基礎実験を行った。チロシナーゼのwild type tyrosinase cDNAとR278X変異導入tyrosinase cDNAをレンチウイルスベクターでヒト線維芽細胞由来NIH 3T3細胞、ヒト胎児腎細胞由来HEK293細胞株に感染させた。ベクターにヒグロマイシン耐性遺伝子を導入し、感染した細胞のみヒグロマイシンにてセレクションし、野生型およびR278Xチロシナーゼを定常的に発現する、NIH 3T3細胞株およびHEK293細胞株を作成した。この細胞株にアミノグリコシ抗生物質である。G418を800μg/ml、400μg/ml 、200μg/mlの濃度にて24時間培養し、抗FLAG抗体および抗チロシナーゼ抗体によるウェスタンブロット解析を行った。HEK293細胞株では、濃度依存性のリードスルー効果を確認できた。現在、筋ジストロフィーで臨床試験が行われているPTC124を添加して観察を行ったが、リードスルー効果は認められなかった。
2: おおむね順調に進展している
予定通りに経過している。
ほかの種類のナンセンス変異についてのリードスルー効果を評価する。さらに、G418とゲンタマイシンの同時投与による相乗効果を検討する。また、異なった細胞株においても検討を加える。
細胞培養の消耗品について、薬品とくに血清を節約して使用したために、余剰が生まれた。実験は順調に経過しており、このまま実験を進めていく予定。
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J Dermatol
巻: 41 ページ: 296-302
10.1111/1346-8138.12432
巻: 40 ページ: 344-354
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