研究課題
日本人における眼皮膚白皮症患者のうち、R278Xのナンセンス変異は9%に見られる。この変異を定常的に発現している293T細胞株をレンチウイルスベクターにより作成した。この細胞株に、リードスルー効果が期待できる、G418、ゲンタマイシン、PTC124の薬剤を投与し、発現したチロシナーゼをウェスタンブロットで解析した。ゲンタマイシンとPTC124ではリードスルー効果は観察されなかった。G418では、dose-dependentなリードスルー効果を観察した。しかし、リードスルーを生じうる濃度はかなり高濃度を要した。次に、R116X、 W236X、Q255X、 R278X、 R402の5種類のチロシナーゼナンセンス変異について、一過性発現のシステムで検討を加えた。薬剤を加えない状態でのチロシナーゼのウェスタンブロットでは、R116Xで23%もの蛋白が全長チロシナーゼを発現しており、このR116Xチロシナーゼは薬剤なしでもリードスルーを起こしていることが示された。これは、ストップコドンの次の塩基がシトシンであることが関与していると推測した。R116Xについては、定常的に発現している細胞株を作成してさらに検討を加えたが、PTC124によるリードスルーの増強は観察されなかった。PTC124によるリードスルーはTGA-Gのナンセンス変異で大きいとの報告がある。今回検討したナンセンス変異は、TGA-C (R116X)、TGA-T (R278X)であったことが、PTC124でリードスルーが観察されなかった一因である可能性を考えた。今回の研究により、R116Xは無刺激でもリードスルーが生じていることがわかった。今後、このナンセンス変異チロシナーゼが、メラニン合成に十分なチロシナーゼ活性を持ちうるのかどうかについての検討が必要であろうと思われる。
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