研究課題/領域番号 |
25670507
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
久保 亮治 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70335256)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 皮膚バリア / アトピー性皮膚炎 / タイトジャンクション |
研究概要 |
皮膚は、表皮最表層の角質バリアと、内側のタイトジャンクション(TJ)バリアの二重のバリアにより守られる。先天的な角質バリア不全は、外来抗原の経皮侵入・経皮感作を増加させ、アトピー性皮膚炎を引き起こす。一旦皮膚炎が起こると、炎症がTJバリアを障害することで角質形成異常が引き起こされ、結果ますます経皮抗原侵入が加速するという悪循環が起こることが予想される。本研究では表皮TJバリア破綻を人為的に誘導した時に経皮感作は亢進するのか、皮膚炎は誘導されるのか、角質バリアは障害されるのか、について検討している。 本年度は、皮膚表皮のタイトジャンクションバリアを成体マウスで破綻させるために、タモキシフェン誘導性皮膚特異的クローディン1ノックアウトマウスの作成を行った。K5プロモータ下でcreを発現するマウスまたはK14プロモータ下でcreERTを発現するマウスと、クローディン1floxマウスを掛け合わせて、K5cre (+/-), Cldn1 (flox/flox)[Cldn1cKO]マウス、および K14creERT (+/-), Cldn1 (flox/flox)[Cldn1 inducible cKO]マウスを作成した。 表皮特異的に発生時よりCldn1をノックアウトしたマウスは、生後すぐより経皮的水分蒸散の上昇を示し、生後24時間以内に死亡した。これは、conventionalなCldn1 KOマウスのフェノタイプと酷似しており、Cldn1 KOマウスの死因は、肝臓・胆嚢の障害によるものではなく、皮膚のバリア機能低下に伴う皮膚からの水分蒸散過剰によるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①表皮特異的タモキシフェン誘導性CLDN1欠損マウスの作成 新生児期の水分喪失や肝障害による影響を取り除き、皮膚におけるCLDN1欠損の影響、表皮TJ障害の病態を精査するために、表皮特異的タモキシフェン誘導性CLDN1欠損マウスを作成した。まず、CLDN1-floxマウス(我々が作成済)とK5-creマウスを掛け合わせて、生下時より皮膚特異的にCLDN1を欠損させたマウスを作成し、CLDN1-floxアレルがcre発現によりconditionalにノックアウトされることを確認した。本マウスでは肝臓のCLDN-1はKOされなかったが、表皮ではCLDN-1がKOされており、我々が作成したCLDN-1 floxにおいてcre依存的に組織特異的にCLDN-1をKOできることを確認した。次にCLDN1-floxマウスとK14-creERTマウス(Jackson Labより購入)を掛け合わせてK14-creERT・CLDN1(flox/flox)マウスを得て、本マウスが成長してから全身性もしくは皮膚の一部にタモキシフェンを加えることでCLDN1欠損を表皮特異的に誘導した。現在、このマウスの表現型の解析を進めており、順調に研究は進展している。 ②表皮TJバリアの分子選択性の検討と皮膚炎により誘導される表皮TJバリア障害の解析 Nc/Ngaマウスを用いた皮膚炎モデル、フィラグリン欠損マウス・野生型マウスへの反復抗原塗布モデル、様々な炎症性皮膚疾患患者からのバイオプシーサンプルを用いて、炎症により誘導される皮膚TJバリア機能変化を、低分子プローブ、高分子プローブそれぞれを用いて解析した。フィラグリン欠損マウスでは、明らかなバリア異常は観察されなかった。一方、皮膚炎モデルにおいて、低分子に対するバリア機能が選択的に失われることを明らかにしており、順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
表皮特異的タモキシフェン誘導性CLDN1欠損マウスの解析 表皮特異的タモキシフェン誘導性CLDN1欠損マウスを得ることができたので、本マウスのフェノタイプ解析を進める。TJバリア異常を起点としたときに起こる皮膚変化を解析することにより、TJバリア異常から角質形成異常⇒経皮的抗原侵入増加⇒さらなる炎症⇒TJバリア破壊という悪循環が、アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性について、本マウスを用いて検討を進める。 新しいin vitroでの表皮TJ機能測定方法の開発 本研究を発展させるためには、角化重層上皮において、角質バリアとTJバリアを別々に機能評価する手法の確立が必須であり、生細胞を取り除いた角層シートを用いた水分蒸散バリア機能評価方法、3次元培養した表皮シートにおけるTJバリア単独の機能評価方法の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
コンディショナルKOマウスが順調に得られたため、マウス飼育費、ジェノタイピング費用などの関連費用を節約することができた。 次年度は、コンディショナルKOマウスの表現型解析のためにマウス飼育費、解析費用に十分な資金が必要であり、本年度節約できた予算を次年度のマウス表現型解析のために使用する。
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