研究課題
1.皮膚炎を出発点とした場合のTJバリア機能異常の解析皮膚炎により表皮TJバリア機能はどのような修飾を受けるのか、炎症を起点とした時の皮膚バリア変化を特にTJバリアに着目して解析した。具体的には、フィラグリン欠損マウス・野生型マウスへの反復抗原塗布モデルを用いて、炎症により誘導される皮膚TJバリア機能変化を、低分子プローブ、高分子プローブそれぞれを用いて解析した。その結果、フィラグリン変異のみではTJバリア機能は変化しないが、一旦皮膚炎を発症させると、TJバリアが分子サイズ特異的に破綻することを見出した。2.TJバリア破綻を出発点とする表現型の解析タモキシフェン誘導性に表皮特異的にCLDN1を欠損させ、皮膚TJが低分子に対するバリア機能を失った時に起こる変化を、角層形成・経皮感作・表皮ランゲルハンス細胞挙動変化などから多面的に解析した。生体でのトレーサー浸透実験では、TAM投与後4日目より表皮TJの漏洩が局所的に始まり、8日目には表皮全体でTJが漏洩した。TJの漏洩は分子サイズ選択性で、500Da以下のトレーサーは漏れたが、30kDa以上のトレーサーは漏れなかった。一方、10日目より経皮水分蒸散量(TEWL)が上昇し始め、18日目には紅斑や鱗屑を伴う皮膚炎の表現型が現れ、TEWL上昇はピークに達した。単離した角層シートを通過する水分蒸散をex vivoで定量したところ、8日目では変化なく、18日目では上昇していた。以上より本マウスでは、角質バリア異常とそれに伴うTEWLの上昇が、TJバリアの漏洩により二次的に引き起こされたと考えられた。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件) 備考 (2件)
J Dermatol Sci.
巻: 77 ページ: 28-36
10.1016/j.jdermsci.2014.11.007
J Allergy Clin Immunol.
巻: 134 ページ: 856-864
10.1016/j.jaci.2014.08.001
http://www.derma.med.keio.ac.jp/derma/medic/staff/06.html
http://www.derma.med.keio.ac.jp/derma/medic/project/04.html