研究課題
本研究では独自に開発した細胞表面膜タンパク質に対する定量的なプロテオミクス解析を悪性黒色腫に対して行うことにより、抗体医薬品開発の標的となる抗原タンパク質を同定することを目的とした。さらに、癌抗原に対するモノクローナル抗体を開発し、悪性黒色腫の肺転移モデルマウスに対して、抗体を用いて悪性黒色腫の遠隔転移モデルに対する抗腫瘍効果をin vivoイメージング装置を用いて定量的に解析することで証明することとした。昨年度までに、コントロール細胞としてメラノサイト、悪性黒色腫細胞株としてA2058、G361、Mewo、 SK-MEL5、SK-MEL28、VMRC-MELG、WM266-4との間での、細胞表面膜タンパク質の発現差についてiTRAQ法を用いて定量的に解析した。その結果、悪性黒色腫に対する新規癌抗原候補分子が数種類検出されていた。その内の1つのタンパク質については、SK-MEL28で高発現していることをフローサイトメトリー法により確認した。本癌抗原をニワトリに免疫することで特異的な抗体の取得に成功し、Fc領域をマウスIgG2aに改変したニワトリ・マウスキメラモノクローナル抗体を6クローン開発することに成功した。これらのモノクローナル抗体の性状解析も行った。モノクローナル抗体による直接的な抗腫瘍効果について悪性黒色腫細胞株を用いてin vitroで検証中であり、in vivoでの抗腫瘍効果も解析する予定である。
2: おおむね順調に進展している
H26年度までに当初の予定通り、iTRAQ法を用いて、悪性黒色腫に対する新規癌抗原タンパク質のスクリーニングを行い、候補分子を数種類同定した。このうちの1つの分子については、SK-MEL28で高発現していることをフローサイトメトリー法により確認した。本癌抗原をニワトリに免疫することで特異的な抗体遺伝子の取得に成功した。得られた抗体遺伝子について、Fc領域をマウスIgG2aに改変したニワトリ・マウスキメラモノクローナル抗体を6クローン開発することに成功した。樹立したモノクローナル抗体の性状解析も行い、nMオーダーの親和性を示す事を明らかにした。モノクローナル抗体による直接的な抗腫瘍効果について悪性黒色腫細胞株を用いてin vitroで検証中であり、in vivoでの抗腫瘍効果も解析する予定である。
iTRAQ解析により同定された悪性黒色腫に対する新規癌抗原候補タンパク質について、免疫組織化学染色により悪性黒色腫の手術組織に対して新規癌抗原候補タンパク質が高発現する事を検証し、予後との関係を検証することを予定している。さらに、新規癌抗原候補タンパク質に対して独自に開発したモノクローナル抗体については、in vitroで悪性黒色腫に対して直接的な抗腫瘍効果を示すクローンを探索する。続いて、免疫不全マウスの皮下に移植した悪性黒色腫のゼノグラフトモデルに対する抗腫瘍効果をコントロールIgG投与群と比較することで検証する。
発注予定であった薬品の在庫がなかったため。
薬品は納品済みのため研究計画に沿って使用する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件)
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