研究課題/領域番号 |
25670511
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 疫学研究 / 分子遺伝研究 / 脳画像研究 / 脳磁図 |
研究概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率を明らかにするために、新潟県新潟市において平成24-26年度小学校入学予定児童2527名を対象にして、自閉症スクリーニング質問紙(ASQ)および胎生期・周産期異常、遺伝負因、生活環境因子などの情報をアンケートにて収集し、同意の得られた2388名(回収率94.5%)から回答を得た。解析の結果、ASQ総得点15点以上のASD疑い群は40名(1.7%)であった。さらに出産時の母親の高齢(45歳以上)と未熟児であることが児がASD疑い群となるリスク因子として同定された(それぞれ、p < 0.01、オッズ比4.87倍;P < 0.01、オッズ比3.63倍)。 また、上記調査で明らかとなったASDの児童および新潟県内の発達専門外来に通院するASD罹患者を対象とし、脳磁図所見、1.5テスラMRI装置を用いた拡散テンソル画像所見および対象者のDNA遺伝子変異を包括的に解析し、以下の成果を得た。 ASDの視線認知課題中の脳磁図所見において、ASD群および定型発達群それぞれ12名ずつで比較したところ、定型発達群では目線が逸れる刺激よりも目線が合う刺激で右上側頭溝後部領域が有意に大きく活動していたのに対して、ASD群ではこの活動の大きさの有意差が消失することを見出し、Neuropsychobiology誌に報告した。拡散テンソル画像所見においてのASD群と定型発達群で有意差のある部位は同定できなかった。小児自閉症評価尺度を用いて評価されたASD群の臨床的特徴とOXTR遺伝子およびトリプトファン水酸化酵素2(TPH2)遺伝子との関連を調べ、OXTR遺伝子の変異が「模倣」、TPH2遺伝子の変異が「身体の使い方」の下位項目のスコアに有意な影響を与えていたことを明らかにし、それぞれPsychiatry Res.誌、Psychiatry Clin Neurosci.誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ASDの疫学研究および臨床的特徴との遺伝子多型との関連解析は概ね予定通りに進展した。しかし、遺伝子多型との関連を解析するために十分な数の脳画像データを収集できず、ASDの妥当な類型化には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度中で予備的な解析結果を得るなど脳画像研究の基盤はできあがったので、画像データの収集を急ぎ、臨床的特徴との解析の結果と併せて、ASDの類型化を行う予定である。
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