研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)の有病率を明らかにするために、新潟県新潟市において平成24-27年度小学校入学予定児童2,937名を対象にして、自閉症スクリーニング質問紙(ASQ)および胎生期・周産期異常、遺伝負因、生活環境因子などの情報をアンケートにて収集し、同意の得られた2776名(回収率94.5%)から回答を得た。解析の結果、ASQ総得点15点以上のASD疑い群は45名(2.0%)であった。さらにASQの点数と妊娠中の喫煙本数に正の相関を認めた(r=0.064, p= 0.001)。 また、上記調査で明らかとなったASDの児童および新潟県内の発達専門外来に通院するASD罹患者を対象とし、分子遺伝研究を行い、以下の結果を得た。候補遺伝子をオキシトシン受容体遺伝子に絞ってASD発症に効果の強い稀なミスセンス変異を探索したが同定することはできなかった(Egawa et al., 2014 Psychiatry Clin Neurosci)。そこで候補遺伝子を絞らずにゲノム中の全エクソンを網羅的に解析するエクソーム解析をASD多発家系において行い、3つの候補リスク変異(CLN8 R24H , RPS24 Q191X, CD300LF P261fsX266)を同定した(Egawa et al., 2015 Plos one; Inoue et al., epub Psychiatry Clin Neurosci)。
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