研究課題/領域番号 |
25670511
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症(ASD) / 疫学研究 / 脳イメージング研究 / 分子遺伝学研究 / 脳磁図(MEG) |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder; ASD)の有病率を明らかにするために、新潟県新潟市において平成24-27年度小学校入学予定児童2,937名を対象にして、スクリーニング調査を行い、ASQ総得点15点以上のASD疑い群は45名(2.0%)であり、精神疾患の家族歴があることがASDリスク因子として同定したが(p =0.016、オッズ比:3.55倍、95%信頼区間:1.25- 9.01)、上記調査で明らかとなったASDの児童および新潟県内の発達専門外来に通院するASD罹患者を対象とし、分子遺伝研究を行い、以下の結果を得た。ゲノム中の全エクソンを網羅的に解析するエクソームシークエンスをASD複数罹患家系において行い、候補リスク変異としてCLN8 R24Hを同定した(Egawa et al., 2015 Plos one)。CLN8遺伝子の他の変異もASDの発症リスクに関係している可能性があるため、複数罹患家系症例とは別のASD患者256名についてCLN8のエクソンシークエンスを行い、さらに、4つ(F39L、R97H、T108M、N152S)の稀なミスセンス変異を候補リスク候補変異として同定した(Inoue et al., 2015 PLoS One)。 「心の理論」能力の有無を、ヒトとサルで共通して施行できるように、言語的教示がなく視線計測で定量的に判別する「非言語的誤信念課題」および、「共同注視」同様に判別する「視線矢印課題」を課題中の脳活動が計測できるように調整した。ミリ秒単位の優れた時間解像度を有する脳磁図(MEG)計および非磁性体視線計測装置のセッティングについて、定型発達者の計測を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ASDの疫学研究および分子遺伝研究は概ね予定通りに進展した。しかし、脳イメージング研究において研究協力機関である国立病院機構西新潟中央病院に設置されているMEG計と非磁性体注視点計測装置(Eye Link)を連動させるためのセッティングすることに時間を要したが、さらにH27年度にMEG本体の基盤交換が行われ、測定器のオペレーションシステムも変わったことにより、Eye Linkとの連動セッティングに微調整を必要とし、予想外に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
脳イメージング研究において、H27年度にMEG本体の基盤交換が必要になったため、非磁性体注視点計測装置(Eye Link)との連動セッティングなど予定よりも時間を要したが、ASD群および定型発達群の研究協力者は確保できており、今年度中に予定対象者数のデータを収集することは可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳磁図(MEG)計が設置されている西新潟中央病院の改築基礎工事が行われ、MEGデータにノイズの混入が認められたこと、MEG本体の基盤交換により、MEGと注視点の同時計測システムの設定の変更を要したこと、BNCボックスの故障により課題開始時のトリガーが出現しないというトラブルがあった。以上の理由より予定していた患者と健常対象者の撮影が終了しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
患者と健常対象者への研究協力謝金およびMEG解析の脳座標位置決めのために撮影するMRI撮影における放射線技師への謝金として使用する。
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