研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder; ASD)の有病率を明らかにするために、新潟県新潟市において平成24-27年度小学校入学予定児童2,937名を対象にして、スクリーニング調査を行い、ASQ総得点15点以上のASD疑い群は45名(2.0%)であり、精神疾患の家族歴があることがASDリスク因子として同定したが(p =0.016、オッズ比:3.55倍、95%信頼区間:1.25- 9.01)、上記調査で明らかとなったASDの児童および新潟県内の発達専門外来に通院するASD罹患者のうち、同意を得られた27名に対して国立病院機構西新潟中央病院の1.5テスラMRI装置を用いて15軸の拡散テンソル画像(diffusion tensor image; DTI)を撮像し、神経線維の体積を計測した。同時に自閉性尺度であるAutism Spectrum Quotient (AQ)した。ASDに関連すると報告されている神経回路とAQ得点および研究者代表者が同定してきたASDリスク遺伝子の変異(CLN8 R24H(2015 PLoS One)、WDR90 V1125fsおよび EFCAB5 L1210fs(2015 Psychiatry R Res)など)との関連を解析した。結果、AQ得点およびASDリスク候補遺伝子変異との相関する神経回路が複数同定された(詳細は研究成果報告書を参照)。本研究のような生物学的データを元にASDを類型化しようとする試みは、現在存在しないASDバイオマーカーの確立に貢献するものである。
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