研究課題
本研究の目的は虐待関連性発達障害(自閉症様症状およびADHD様症状)を呈する患者に対して画像検査を行い、ADHDおよび自閉症との比較を行う。PETで神経伝達系の障害の程度を明らかにし、診断方法を確立する。対象は18歳―49歳の成人ADHD20名、成人自閉症20名。健常対照群20名。トレーサーは [11C]SCH23390を脳内ドパミンD1受容体の指標として用い、さらに[11C]PK11195を活性型ミクログリアの指標とし、成人ADHD、健常対照群に用いた。結果は成人ADHDの脳内では、ドパミンD1受容体がMedial Frontal Cortexにおいて低下していた。この部位はsocial cognitionに関与しており、ADHDの障害に関与する可能性がある。自閉症はドパミンD1受容体の変化がなかった。活性型ミクログリアは成人ADHDの脳内で、脳全体に増加。以前自閉症で活性型ミクログリアが増加を見出したので、ADHDと自閉症を鑑別するには[11C]SCH23390のトレーサーが有効である。このトレーサーを虐待関連性発達障害に用いることにより症状病態を明確にできる。次に治療効果指標の確立について、虐待関連性発達障害は虐待により構築された発達障害であることより記憶再構築の障害が強い。虐待関連性発達障害のトラウマ処理の技法としてEMDRを簡易精神療法の形での用い方を開発した。EMDRを用い両側交互刺激の振動を生み出すパルサーを用いて、想起に対して受け身の交互刺激を行う。これをチャンスEMDRと命名しトラウマ処理への効果を見出した。次にフラッシュバックの薬物療法について、神田橋條冶によって見いだされた漢方薬の服用(桂枝加芍薬湯2-3包および四物湯2-3包)の効果、少量薬物療法は抗精神病薬は最低容量の半錠以下から始めることなどフラッシュバックや併存症への効果を見出した.
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