研究課題
京都大学霊長類研究所の今井啓雄准教授から提供を受けたニホンザルの末梢血由来ゲノムを用いてCNV解析を実施し、ヒト精神疾患と関連したCNVをもつニホンザル個体の探索を行った。comparative genomic hybridization法(CGH法)を用いて、平成26年度までに379頭の解析を終えた。ゲノムデータのquality control後に残った335頭について、詳細なデータ解析を実施した。その結果、全ゲノムで5904個のCNVを同定した。神経発達関連遺伝子に影響するCNVに着目し、14番染色体のGRM5遺伝子(glutamate receptor, metabotropic 5)を含む領域の重複(4.3Mb)、1番染色体のNGF遺伝子(nerve growth factor)を含む領域の欠失(812kb)、14番染色体のBDNF遺伝子を含む領域の重複(1.0Mb)、そして10番染色体のADORA2A遺伝子(adenosine A2a receptor)を含む領域の重複(590kb)を同定した。10番染色体の重複は、ヒトの22q11.23領域に相当し、その重複は統合失調症や神経発達障害との関連が報告されている。精神疾患との関連をさらに調べるため重複をもつ個体の観察を実施したが、これまでのところ明らかな行動学的異常は見出していない。今後もオープンフィールドテストや社会相互作用の評価、認知機能テスト、脳画像検査を実施し、精神疾患モデルとしての妥当性を検証する必要があると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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