我々は、ヒトの頭皮から採取した毛根の細胞に、ヒトの脳の細胞と共通する遺伝子が発現していることを発見し、これらの遺伝子の発現量の変化が、統合失調症や自閉症などの精神疾患の早期診断を補助するバイオマーカーとなる可能性を追究した。具体的には、統合失調症患者や自閉症の方から約10本の毛髪を採取して、既に精神疾患の死後脳で発現変化が確認されている遺伝子の毛根細胞での発現量を測定した。その結果、統合失調症患者の毛根細胞では、脂肪酸結合タンパク質(FABP)の1つであるFABP4をつくるFABP4遺伝子の発現量が対照群(健常者)に比べ約40%低下していることをつきとめた。
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