研究課題
挑戦的萌芽研究
トリフルオロメチル基(CF3基)を有するPETプローブの合成法を開発するため、初年度の課題として、その標識前駆体となる18F標識臭化トリフルオロメチル(CF218FBr)のマイクロリアクター合成条件を最適化とその精製法を検討した。①CF218FBrのマイクロリアクター合成:CH2Br2を出発原料にする18F標識CH2Br18F合成を参考にして、最適化を図った。CBr2F2のアセトニトリル(MeCN)溶液(2/1)と濃縮チップから得られた[K/K.222]18FのMeCN溶液とを混合し、130°Cに加熱した反応チップに通した。0.1分の反応条件で約46%の放射化学的収率でCF218FBrを得ることができた。②吸着カラムによるCF218FBrの分離回収:気体の吸着作用を利用する分離法をまず検討した。その結果、シリカゲルカラムでMeCNおよびCBr2F2からCF218FBrを簡単に分離することができた。しかし、精製後の次のステップである有機溶媒中での反応のためには、この揮発性の生成物を効率よくバブリングで捕集する必要があり、キャリアーガスの早い流速(>100 mL/min)を用いる分離法は適さないことが判明した。③蒸発チップによるCF218FBrの分離精製:CF218FBrを含むチップからの反応液をマイクロリアクター用の蒸発チップを用いて、沸点の違い(CBrF3:-58°C、CBr2F2:22°C)による分離を検討した。反応溶液を蒸発チップに導入し、適当な温度でチップ内上層にHeガスを低速で流して揮発性成分を活性炭に捕集した。その回収効率と原料の混入に関しては、今後十分に検討する必要があり、次年度では新しい蒸発チップを試作し、導入する反応溶液量、チップ温度、He流速を変化させて最適条件を見出す予定である。④反応溶媒中への捕集:シリカゲルカラムにより分離されたCF218FBrを、タイロシンを含むDMSO溶液にバブリングして反応物を分析したが、ほとんど反応物は検出されず、CH2Br18Fと比較して反応速度はかなり遅いものと推測された。
3: やや遅れている
当センターのサイクロトロンが工事その他でしばしば運転休止となり、実験回数が絶対的に不足したことが、研究の進展を遅らせた要因と言える。また、CF218FBrの分離に既存の蒸発チップを使用したが、耐圧性に問題が見つかり、幅広い実験条件を適用できなかった。
平成26年度初期に蒸発チップを入手し、準備していたHe以外のガス(Xeとブタン)を使用して分離と次の反応溶媒中へのバブリング法を検討する(迅速な加熱冷却可能な超小型の濃縮カラムとガス用高圧シリンジポンプの開発)。また、いくつかの反応基質を用意してCF218FBrとの反応性を調べる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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