研究課題
昨年度確立したマイクロリアクター合成法で18F標識臭化トリフルオロメチル(CBrF218F)を合成し、CBr2F2との分離精製法と標識反応系への導入法に関して検討した。①沸点の差を利用したマイクロリアクター用の気液分離チップ(蒸発チップ)を試作して、出発原料のCBr2F2と反応溶媒のアセトニトリル(MeCN)からのCBrF218Fの分離を試みた。数本の流路とその上層に空間を有する5 cm四方の石英製チップにマイクロリアクター反応チップからの反応液を導入して、He気流で低沸点のCBrF218Fの回収を行った。その結果、十分な回収効率を得ることはできたが、チップ温度を変化させても揮発性のCBr2F2の混入は避けられなかった。②そこで、蒸発チップ出口に小さな市販の使い捨てカラムを接続して、Heで取り出される生成物を吸着濃縮し、その後CBrF218Fを優先的にカラムから取り出す方法を検討した。捕集・溶出温度を変えていくつかのカラムを試した結果、固相抽出用のシリカカラムを選択したが、回収効率とCBr2F2混入割合は相反する結果となり、効率よく純度の高いCBrF218Fを得る精製法は見出されなかった。③CBrF218Fの反応性を評価するモデル化合物として、昨年度同様O-[18F]フルオロメチルタイロシンを選択した。シリカカラムからHeガスで溶出して反応溶液でバブリングしても目的物が得られなかった結果を踏まえ、今年度は溶媒に対し溶解性の良いXeガスとブタンガスを用いて反応を行ったが、Heと同様の結果しか得られなかった。この結果は、CBrF218Fが求核置換反応の基質としての反応性が高くないことを示唆していると考えられる。
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