研究課題
本研究で使用を予定していた超高分解能PET装置は、小型の2次元位置弁別型半導体検出器(1mm x 19mm x 20mm)を用いており、検出器を80枚積層した検出器ブロックをリング状に配置することで、x,y,z方向に約1mmの高分解能を発揮することが検出器のデータを元に下シミュレーションの結果から示されていた。ところが、ファントムを用いた撮像を行ったところ、被写体となった一定のボリュームを持った放射線源の形の描出が不良だった。この結果を受けて、本研究では、再度本装置の性能評価を行い、臨床利用に必要な条件を吟味することを目指した。まずは、①検出器ブロックの基本性能評価、②検出器ブロックの位置精度の評価、③装置全体としての性能評価、の3点に注目して性能評価を行った。その結果、①PET装置として機能するためには検出器ブロックのエネルギー閾値が一定の条件を満たしている必要があることが示された。また、臨床撮影時の長時間撮影では、検出器のpolarizationが発生して計数率が低下することが示された。さらに800個のうち多くの検出器に位置検出機能不良がものが混じっていることが判明した。②また、検出器ブロックの位置精度の再評価を行ない、位置精度を機械的に向上させるためのシステムを開発した。③22Na点線源を用いて、位置補正後の視野内の空間分解能を再評価したところ、x方向で1.2mm FWHMの、y方向で1.4mm FWHMの空間分解能が得られた。これらのデータから、検出器の再整備が完了すると、優れた空間分解能の装置となることが推測された。また追加測定の結果、本装置の視野内の放射能量が40 MBq前後となることが示唆された。
3: やや遅れている
本研究の現在までの達成度はやや遅れており、その理由を以下に記す。本装置では、x,y,z方向に約1mmの高分解能を発揮することが期待されていた。ところが、ファントムを用いた撮像を行ったところ、画像上、被写体となった一定のボリュームを持った放射線源の形の描出が不良だった。この結果を受けて、本研究では、再度本装置の性能評価を行い、臨床利用に必要な条件を吟味することを目指した。まずは、①検出器ブロックの基本性能評価、②検出器ブロックの位置精度の評価、③装置全体としての性能評価、の3点に注目して性能評価を行った。再評価の結果、様々な問題点が見つかり、一つ一つ確認しながら調整を進めていくことが必要となった。種々のデータから、検出器の再整備が完了すれば、優れた空間分解能の装置となることが推測されている。また追加測定の結果、本装置の視野内の放射能量が40 MBq前後となることが示唆された。
ヒト脳撮影用の超高分解能半導体PET装置は完成したものの、試験撮影と基本的な性能評価を行った際に、当初予想されていたような性能の発揮が難しいことが判明した。今後、慎重にさらなる性能評価と性能改善のための作業を進める。現在の計画では、平成27年度中に試験撮影を実施する予定である。装置の試験撮影が困難な場合の対応策として、別の高分解能PET装置で撮影を行い、将来の画像の比較に備えることも検討する。被写体の大きさの問題もあるため、当初予定していたヒトの頭部の撮影は困難となる可能性もあり、奥行きが小さい、ヒトの手の筋肉のアクティベーション課題を考案して、試験撮影をするのが現実的と考えられる。追加測定の結果、本装置の視野内の放射能量が40 MBq前後となることが示唆されているため、臨床使用する上でも、合理的な性能になるものと思われる。将来的には、臨床用の比較的高分解能PET装置の画像と超高分解能PET装置の画像の比較を行い、次の装置の構築に備える。
研究の進捗が遅れたため、当初予定していた支出が減少した。
平成27年度に臨床測定を実施して支出する予定である。
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