研究課題/領域番号 |
25670526
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
細貝 良行 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90451525)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人工ルビー / 照射線量 / リアルタイム / フォトンカウンタ / X線線量計 / IVR / X線被曝 / 放射線計測 |
研究実績の概要 |
血管カテーテル検査・治療時(IVR)の照射線量をリアルタイムにモニタリングするためのシステムの構築を目的として、各種実験を実施した。平成25年度に得られた基礎特性をもとに、実際の臨床現場における各種の問題点(例えば装置が異なることによるX線の実効エネルギーの相違や装置形状の違いによる散乱線の影響など)を把握しつつ、システムとしての整合性の検討を行った。具体的には、下記に示す。 ・本システムのX線エネルギーに対する依存性、・本システムを実際に使用する上での方向依存性、・本システムを装置に実装する場合の実際の取り回し、などである。 平成25年度に得られた基礎特性、ならびに平成26年度に得られた実際使用する上での各種問題点が得られたことで、臨床現場における必要性を再認識でき、IVR時の患者被曝線量のモニタリングの必要性とともに、本システムの有用性を確証することができた。また、これらの実験結果は関連学会にてすでに報告済みであり、放射線技術学会なども含め関連学会における反響も多大であった。 現在、本システムの放射線センサーとして使用している人工ルビーを複数個使用して、個々の特性の把握を行っているところである。以前人工ルビーを購入した日立マクセルが生産を停止したことで、購入先の選択に困っていたが、現在他企業にて手配を行うことが可能となったことで、再度検討を行うことが可能となった。複数のセンサーの特性を把握した結果、概ね10%程度の固有さがあることが把握できた。この値は、個々事前に校正計数として把握しておくことで、個々のバラツキと校正することが可能で有り、複数のセンサーにて同時測定が可能であることが確認できたことは大変有用であった。これらの結果は、本年の日本放射線技術学会にて報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に得られた基礎特性の結果をもとに、今年度は臨床使用上の問題点を把握するための各種実験ならびに、人工ルビーの固有差を確認するための各種実験を行うことが出来た。特に固有差の把握から得られた結果において、その差を校正計数として事前に把握しておくことで、固有差が十分吸収可能であることが把握できたのは大変有用であった。また、システムとしての設計そのものには臨床での使用上大きな問題点が無いことが把握でき、十分臨床使用に耐え得るシステムであることが解った。
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今後の研究の推進方策 |
本システムにおいて、複数の人工ルビーセンサーが使用可能であり、またその固有差を校正計数を使用して校正可能であることが解った。当初の目的であった、”臨床使用時に邪魔にならない、リアルタイムに照射線量がモニタリング可能、複数点を同時に計測可能”の3点を目標とした測定システムを構築することが可能であることが解ったが、本システムは一度に測定可能である測定点が1点のみである。これは使用している測定器が一台のみであり、複数のセンサーを使用する場合にはセンサーを付け替えて各種の特性を得ることにしている。現在使用しているフォトンカウンタでは点としての情報しか得られず限界で有る。今後患者被曝線量を面として発展させるためには同時に50点程度の測定が必要となり、複数点を同時測定可能なシステムの構築が求められるが、現在その発展的システムも構築しつつ、論文としてまとめる必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に購入予定であった100個程度の人工ルビーの購入予定先が製品の販売を行わなくなってしまい、別の購入先の検討を行うためにしばらく時間を有してしまったため、当該年度から次年度への持ち越しとなってしまった。現在、購入先が確定し、発注しているところである。また、新たな形状を伴った光ファイバーの発注も急いでいるところである。
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次年度使用額の使用計画 |
人工ルビー100個:300,000円程度 光ファイバー30本:300,000程度 その他、旅費などに使用する予定である。
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